...最後に時々番台で鳴らす拍子木の音がする...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...この人の顔さえ定かならぬ薄暗い室に端座してベロンベロンと秘蔵の琵琶を掻鳴らす時の椿岳会心の微笑を想像せよ...
内田魯庵 「淡島椿岳」
...あをあをとした松の枝をかすかに鳴らす...
高村光太郎 「智恵子抄」
...梢を鳴らす清嵐に鳥の聲尚ほ眠れるが如し...
高山樗牛 「瀧口入道」
...溝板(どぶいた)を踏(ふ)み鳴らす細い小路を通って...
田山花袋 「田舎教師」
...ごろごろと柔(やさ)しく喉を鳴らすけれど...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「可愛い女」
...故鈴(ふるすず)でも鳴らすごとくに...
イワン・ツルゲーネフ Ivan Turgenev 二葉亭四迷訳 「あいびき」
...虫唾(むしず)が走るほど軍刀をがちゃがちゃ鳴らす癖があった...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...工場の厳格な時間や執拗(しつよう)な汽笛を鳴らす製作所の呼び出しなどに...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...太鼓(たいこ)を鳴らす習慣があった...
オマル・ハイヤーム 'Umar Khaiyam 小川亮作訳 「ルバイヤート」
...踏み鳴らす足音が畳を伝つてびりびりと頭に響いた...
北條民雄 「盂蘭盆」
...そうしてますます感心し「ふうん――」と鼻を鳴らすのであった...
本庄陸男 「白い壁」
...」と母は甘えながら不平を鳴らす...
牧野信一 「痴想」
...では、御息女が、帰り保養ときまった上は、すぐに見舞に行って上げるようなすってな――」「かしこまりました」「と、きまれば、芸者を呼んで、一つさわやかに騒ごうか」と、長崎屋が、手を鳴らす...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...浮山 よしよし私が――(棚の上の大きい鈴を取って振り鳴らす...
三好十郎 「冒した者」
...宇治川の汀(みぎわ)の氷を踏み鳴らす馬の足音すらも宮のお心を悲しませた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...かねて高廊の上(へ)に控へたる狙撃聯隊の楽人がひと声鳴らす鼓(つづみ)とともに「ポロネエズ」といふ舞(まい)はじまりぬ...
森鴎外 「文づかひ」
...私は毫もそれに不審を鳴らすものではない...
吉川英治 「折々の記」
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