...浅虫ほど鮮明な思ひ出は残つてゐない...
太宰治 「津軽」
...曇りのない鮮明な輪郭をくッきりと浮かばせて...
谷崎潤一郎 「秘密」
...此れも存在の鮮明な點に於て前述の東京音頭の連中と同種類に屬する人達であらう...
寺田寅彦 「伊香保」
...またそのきゅんきゅんと叩く音が河向いの塀に反響したような気がするくらい鮮明な印象が残っている...
寺田寅彦 「喫煙四十年」
...それが私の家族の日常生活の上にかなりに鮮明な存在の影を映しはじめた...
寺田寅彦 「子猫」
...鮮明なるイメージ...
豊島与志雄 「「草野心平詩集」解説」
...しかしその軽快鮮明なる事は俗曲と称する日本近代の音楽中この長唄に越すものはあるまい...
永井荷風 「夏の町」
...この際唯一(ゆいいつ)の手段として「しかし」をもう一遍繰(く)り返(かえ)す「しかし……今度の土曜は天気でしょうか」旗幟(きし)の鮮明ならざること夥(おびただ)しい誰に聞いたって...
夏目漱石 「自転車日記」
...それは非常に鮮明な組織立った夢で...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...確信は観念のより強力で鮮明な想念に他ならないので...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...恐ろしいまでに鮮明な夢も見ていた...
A. ブラックウッド A. Blackwood The Creative CAT 訳 「盗聴者」
...光線は盛り上り広まり伸びて鮮明な像を少年の眼に映す...
北條民雄 「童貞記」
...何か圧縮された鮮明なしかしまた名状のしがたい感懐を覚えるのである...
三好達治 「柘榴の花」
...Karpokrates は基督教界に於ける殆唯一の旗幟鮮明なる共産主義者で...
森鴎外 「古い手帳から」
...しかもそれは初期の態度の鮮明なテキストとはなはだしい矛盾を示さないように...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...寧ろ印象を鮮明ならしめるために...
柳田国男 「木綿以前の事」
...鮮明な色の紅いものが...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...此のため官能的表徴は感覚的表徴よりもより直截で鮮明な印象を実感さす...
横光利一 「新感覚論」
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