...もう湿声(うるみごゑ)になつて...
石川啄木 「天鵞絨」
...」と見る見る瞳にうるみを持ったが...
泉鏡花 「婦系図」
...蚊がすりの單衣の背とからだの脊中とがひツ付くほど汗のうるみを生じて...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...睫毛(まつげ)うるみし夜もありき...
薄田泣菫 「泣菫詩抄」
...眼(まなこ)うるみて泣(な)きぬれぬ...
薄田淳介 「白羊宮」
...睫毛(まつげ)の長い潤味(うるみ)を持った円い眼(まなこ)が...
谷崎潤一郎 「秘密」
...「はい」「それは、違う、大きに違う」四人が、俯向いて、膝へ手を置いた時、襖の外で「坪井芳州、参上仕りましてございます」「許す」吉之助は、斉彬のその声に、顔を上げて「お上は、お身体が、お悪うござりますか」「少うし――」そう云って、吉之助へ微笑した斉彬の顔には、熱の高そうな眼の濁りと、うるみとが、あった...
直木三十五 「南国太平記」
...その眼には豊富なるうるみを持った神苑動物の野生的群遊を...
中里介山 「大菩薩峠」
...うるみを持って半透明に湧き上るまま...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...やさしくなみだにうるみ...
萩原朔太郎 「ぎたる彈くひと」
...鏡へうつる眼のなかのうるみを...
長谷川時雨 「市川九女八」
...人の感情を弄んで置きながら……誰が人の感情を弄びました……誰が人の感情を弄びましたよ」ト云った時はお勢もうるみ眼に成っていた...
二葉亭四迷 「浮雲」
...水気をふくんだうるみ顔をこちらに向けている...
本庄陸男 「石狩川」
...ふいに目がうるみ...
山川方夫 「愛のごとく」
...野性まるだしの好戦的な眼はうるみを帯び...
山本周五郎 「青べか物語」
...うるみのある深い双眸(そうぼう)...
山本周五郎 「おもかげ抄」
...どれも熱いうるみを眼にもって...
吉川英治 「私本太平記」
...次第にうるみを拭ってキラキラと輝きはじめていた...
蘭郁二郎 「腐った蜉蝣」
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