...鬼に金棒だ!(Good fortune comes in unexpected ways!)...
...いまや文字どおり鬼に金棒の強味を加えたわけであった...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...伝六はかねがねこの質屋に一かたならず面倒をかけている事とて、次郎右衛門の言いにくそうな頼みを聞いて、向うは酒屋、うまく橋渡しが出来たら思うぞんぶん飲めるであろう、かつはこちらの質の利息払いの期限をのばしてもらうのはこの時と勇み立ち、あつかましくも質流れの紋服で身を飾り、知らぬ人が見たらどなたさまかと思うほどの分別ありげの様子をして徳右衛門方に乗り込み、えへへと笑い扇子を鳴らして庭の石を褒(ほ)め、相手は薄気味悪く、何か御用でも、と言い、伝六あわてず、いや何、と言い、やがてそれとなく次郎右衛門の希望を匂(にお)わせ、こちらさまは酒屋、向うさまは質屋、まんざら縁の無い御商売ではございませぬ、酒屋へ走る前には必ず質屋へ立寄り、質屋を出てからは必ず酒屋へ立寄るもので、謂(い)わば坊主(ぼうず)とお医者の如(ごと)くこの二つが親戚(しんせき)だったら、鬼に金棒で、町内の者が皆殺されてしまいます、などとけしからぬ事まで口走り、一世一代の無い智慧(ちえ)を絞って懸命に取りなせば、徳右衛門も少し心が動き、「桑盛様の御総領ならば、私のほうでも不足はございませんが、時に、桑盛さまの御宗旨(ごしゅうし)は?」「ええと、それは、」意外の質問なので、伝六はぐっとつまり、「はっきりは、わかりませぬが、たしか浄土宗で...
太宰治 「新釈諸国噺」
...深水はからだをのりだすようにして、「そりゃええ、パトロンが出来たなら、鬼に金棒さ、うん――」ゆあがりの胸をひろげて、うちわを大げさにうごかしている...
徳永直 「白い道」
...その上にお医者さんで脈処(みゃくどころ)を心得ているから鬼に金棒でございますよ」「なるほど...
中里介山 「大菩薩峠」
...それこそ鬼に金棒じゃ」「書物と又聞(またぎき)では歯痒(はがゆ)くてならぬ...
中里介山 「大菩薩峠」
...鬼に金棒というものだと賞(ほ)めてやった」かく言って遠慮なく...
中里介山 「大菩薩峠」
...ドコへ行こうと鬼に金棒だという観念がお角さんにはあるので...
中里介山 「大菩薩峠」
...力があって男が好くて、鬼に金棒で、姿は近ごろ滅法(めっぽう)流行(はやり)の伊達(だて)で、こいつばかりはうまくありません...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...玉井組と藤本組とが手を握りゃあ、鬼に金棒じゃ...
火野葦平 「花と龍」
...それだけ貰や、鬼に金棒たい...
火野葦平 「花と龍」
...実に鬼に金棒(かなぼう)でありまして...
火野葦平 「糞尿譚」
...それこそ鬼に金棒と...
牧野信一 「武者窓日記」
...加うるに、百年前の西洋のこれこれの地方のこれこれの身分の女が朝飯に何を食ってペチコートの下に何を着ていたかは知りもしないし知ろうともしないでも、相手役のセリフを否定する時には両肩をすくめて両手をあげて見せるという「リアリズム」だけはやれるところの勇敢なる女優や、日本人も西洋人も同じ人間なのだから、しょせんは人間に「普遍妥当」な口のきき方と動作をすればそれが演技だとイミジクも思いこんで実はかつて自分の見た西洋物の時代映画中の俳優の猿マネをしたり、それにカブキ調を「加味」したり、六尺フンドシの上にじかにエンビ服のズボンをはいたり、相手役のダームの手をいただいてセップンした手で手バナをかんだりするところの壮烈な男優などに事を欠かないとあれば、鬼に金棒だ...
三好十郎 「恐怖の季節」
...これで鬼に金棒だ...
横光利一 「旅愁」
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