...そして主人が気が鬱々(くさ/\)すると...
薄田泣菫 「茶話」
...私たち、こんなに毎日、鬱々したり、かっとなったり、そのうちには、踏みはずし、うんと堕落して取りかえしのつかないからだになってしまって一生をめちゃめちゃに送る人だってあるのだ...
太宰治 「女生徒」
...憤怒(ふんぬ)をさえ覚えて、寝床を蹴って起き、浴場へ行って、広い浴槽を思いきり乱暴に泳ぎまわり、ぶていさいもかまわず、バック・ストロオクまで敢行したが、心中の鬱々は、晴れるものでなかった...
太宰治 「八十八夜」
...鬱々(うつ/\)としているように見えたので...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...第十九世紀社会の大烈風はすでにかの上古において垂天の雲のごとき鬱々葱々(うつうつそうそう)たる貴族的の大木を抜き去れり...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...鬱々(うつうつ)として晩を過ごした...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...呪殺変高い、梢の若葉は、早朝の微風と、和やかな陽光とを、健康そうに喜んでいたが、鬱々とした大木、老樹の下蔭は、薄暗くて、密生した灌木と、雑草とが、未だ濡れていた...
直木三十五 「南国太平記」
...杉木立の、鬱々とした、山気と、湿気との籠めている中に、大きい堂が、古色を帯びて建っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...待乳山の老樹鬱々(うつうつ)たる間より唯幾旒(いくりゅう)となき幟(のぼり)の貧しき鱗葺(こけらぶき)の屋根の上に飜(ひるがえ)るさまを以て足れりとなし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...花曇りの頃から引続いて随分鬱々しい厭な時期であった...
中谷宇吉郎 「雑記」
...それで鬱々として...
中谷宇吉郎 「百科事典美談」
...大物(おおもの)を抱えて鬱々としてござった...
久生十蘭 「玉取物語」
...碧瑠璃海岸(コオト・ダジュウル)の春光をはるかに思いやって鬱々(うつうつ)として楽しまず...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...きょうも鬱々(うつうつ)としてまた愉しく...
室生犀星 「陶古の女人」
...鬱々(うつうつ)たるものがあった...
吉川英治 「三国志」
...足利家のうちに鬱々(うつうつ)とこもっていた長年月が...
吉川英治 「私本太平記」
...怏々鬱々(おうおううつうつ)...
吉川英治 「新・水滸伝」
...鬱々(くさくさ)して...
吉川英治 「松のや露八」
便利!手書き漢字入力検索