...尤もグラウンドのポプラアだけは不相変鬱々と茂つた梢に寂しい風の音を宿しながら...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...山に行けぬと鬱々として楽しまぬのは...
石川欣一 「可愛い山」
...従来(これまで)のやうに鬱々(くさ/\)しないで...
薄田泣菫 「茶話」
...決してその間ぢゆう鬱々としてお暮しなさつてゐたわけではなく...
太宰治 「右大臣実朝」
...鬱々として楽しまず...
太宰治 「酒の追憶」
...憤怒(ふんぬ)をさえ覚えて、寝床を蹴って起き、浴場へ行って、広い浴槽を思いきり乱暴に泳ぎまわり、ぶていさいもかまわず、バック・ストロオクまで敢行したが、心中の鬱々は、晴れるものでなかった...
太宰治 「八十八夜」
...幾日もこんなところにいて鬱々(くさくさ)して来たから...
徳田秋声 「縮図」
...杉木立の、鬱々とした、山気と、湿気との籠めている中に、大きい堂が、古色を帯びて建っていた...
直木三十五 「南国太平記」
...待乳山の老樹鬱々(うつうつ)たる間より唯幾旒(いくりゅう)となき幟(のぼり)の貧しき鱗葺(こけらぶき)の屋根の上に飜(ひるがえ)るさまを以て足れりとなし...
永井荷風 「江戸芸術論」
...花曇りの頃から引続いて随分鬱々しい厭な時期であった...
中谷宇吉郎 「雑記」
...従兄弟(いとこ)なり親友なり未来の……夫ともなる文三の鬱々(うつうつ)として楽まぬのを余所(よそ)に見て...
二葉亭四迷 「浮雲」
...やっと鬱々(うつうつ)しい口をひらいて言った...
室生犀星 「後の日の童子」
...ペストの平原に対してブダは対岸の緑樹鬱々とした丘陵である...
横光利一 「欧洲紀行」
...彼は今さきまで鬱々として通った道を...
横光利一 「上海」
...また多血から来る鬱々(うつうつ)な忿懣(ふんまん)とをやりばなくしておいでだった...
吉川英治 「私本太平記」
...忿懣(ふんまん)やるかたないものを鬱々(うつうつ)と抑えているにはちがいない...
吉川英治 「私本太平記」
...鬱々(うつうつ)たる家康の胸中のものが...
吉川英治 「新書太閤記」
...だから貴方も絆(きずな)や世間態に鬱々(くよくよ)しないで...
吉川英治 「松のや露八」
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