...やはり私(わたくし)の憂鬱(いううつ)を慰(なぐさ)むべく世間(せけん)は餘(あま)りに平凡(へいぼん)な出來事(できごと)ばかりで持(も)ち切(き)つてゐた...
芥川龍之介 「蜜柑」
...夜になると部屋は陰鬱になる程暗い...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...その憂鬱と屈辱と孤独と...
太宰治 「如是我聞」
...それがためにいったいに憂鬱(ゆううつ)な彼の心も軽くなっていた...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...憂鬱(ゆううつ)であった...
徳田秋声 「仮装人物」
...いらだちやすく気荒で冷酷でひどく陰鬱(いんうつ)になった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...いつも陰鬱に夢のように彼には感ぜられた...
豊島与志雄 「二つの途」
...この沈うつな階級の古来の憂鬱(ゆううつ)は消散する...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...しかし間もなくこの陰鬱(いんうつ)な往来(おうらい)は迂曲(うね)りながらに少しく爪先上(つまさきあが)りになって行くかと思うと...
永井荷風 「すみだ川」
...黒い洋傘憂鬱の長い柄から...
萩原朔太郎 「宿命」
...その性格にはドストイエフスキイのやうな破倫性と病理學的憂鬱性とがあり...
萩原朔太郎 「本質的な文學者」
...バルカンの沈鬱な風景も...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...広告を相手に鬱憤(うっぷん)を洩らすよりも...
平林初之輔 「文芸は進化するか、その他」
...バンストンは憂鬱に下を向いて最悪を予想していた...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...君の頭の中に鬱積...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...かれの余裕と鬱勃(うつぼつ)の勇を示すものだ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...鬱蒼(うっそう)と雑木の枝をかぶって...
吉川英治 「宮本武蔵」
...チタ子はひどく憂鬱そうな顔をして狭苦しい椅子に埋(うずも)れていましたが...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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