...絵画、陶器、唐皮(からかは)、更緲(さらさ)、牙彫(げぼり)、鋳金(ちうきん)等(とう)種々の異国関係史料、処狭きまでに置き並べたるを見る...
芥川龍之介 「長崎小品」
...「別れの時」の悲哀と憂愁と温柔と縹緲とに對する微細なる感覺を持つてゐたに違ひない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...縹緲(ひようびよう)たる理想の白鷺は羽風徐(おもむろ)に羽撃(はばた)きて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...影縹緲の空遠くゆふべいざよふわが姿無心のあとは有(いふ)情の誰が高樓(かうろう)の眺めぞや珠簾かすかに洩れいでゝ咽ぶ妻琴ねも細く...
土井晩翠 「天地有情」
...虚無縹緲の間に於て...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...虚無縹緲の間に於て...
鳥谷部春汀 「明治人物月旦(抄)」
...」おのずから神韻縹緲として...
豊島与志雄 「地水火風空」
...縹緲玄黄外...
夏目漱石 「思い出す事など」
...縹緲(ひょうびょう)とでも形容してよい気分であった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...縹緲(ひょうびょう)のちまたに彷徨(ほうこう)すると形容するかも知れぬ...
夏目漱石 「草枕」
...左右は燃え崩(くず)るるまでに濃く咲いた菜の花をべっとりと擦(なす)り着けた背景には薄紫(うすむらさき)の遠山(えんざん)を縹緲(ひょうびょう)のあなたに描(えが)き出してある...
夏目漱石 「虞美人草」
...縹緲(ひょうびょう)の楽しみをこれぞと見極(みきわ)むるひまもなく...
夏目漱石 「虞美人草」
...するとそのうちの一人が細長い天秤棒(てんびんぼう)のようなものをぐるりぐるりと廻し始めた……」「何だか水滸伝(すいこでん)のような趣(おもむき)じゃありませんか」「その時からしてがすでに縹緲(ひょうびょう)たるものさ...
夏目漱石 「行人」
...縹緲(ひょうびょう)たる背景の前に写し出そうと考えて...
夏目漱石 「幻影の盾」
...居廻りに在る程のもの悉(ことごと)く薄烟(うすけぶり)に包れて虚有縹緲(きょうひょうびょう)の中(うち)に漂い...
二葉亭四迷 「浮雲」
...神韻縹緲(ひょうびょう)たるしらべにいたっては...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...眼下に潜んだ縹緲(ひょうびょう)とした森林の波頭の上で...
横光利一 「日輪」
...縹緲たる煙波をへだてて波の上に横たはつてゐた...
吉田絃二郎 「八月の霧島」
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