...また女髪結がうちにまいったり致しました...
上村松園 「女の話・花の話」
...女髪結の娘でも縹緻(きりょう)がよければ一足飛びに奥さんにするとかいう風であったから...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...恰も女髪結がするように髻を結んでやるのである...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...髪結にだけは、元いた土地まで出かけて、洋髪や丸髷にいって来ましたが、それだけが殆んど仕事で、もう長唄の稽古もやめてしまいました...
豊島与志雄 「肉体」
...髪結さんの帰り……もう三月(みつき)になるわネエ...
永井荷風 「※[#「さんずい+(壥−土へん−厂)」、第3水準1-87-25]東綺譚」
...髪結は来ないかと騒いでいる...
夏目漱石 「永日小品」
...宗助(そうすけ)は久し振に髪結床(かみゆいどこ)の敷居を跨(また)いだ...
夏目漱石 「門」
...「色直しの着付けを済まして、御不浄へいらしったようですが、それっきり見えません」界隈(かいわい)でよく知られた、名人の髪結、額から右の眼へかけて赤い痣(あざ)のあるお鶴が、その醜い顔を歪(ゆが)めておろおろしております...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...故松助演じるところの『梅雨小袖(つゆこそで)』の白木屋お駒の髪結(かみゆい)新三(しんざ)をとっちめる大屋さん...
長谷川時雨 「テンコツさん一家」
...髪結床でも銭湯でも人の寄り場はどこへ行っても...
林不忘 「仇討たれ戯作」
...さっそく髪結さんに連れて行って貰う...
林芙美子 「新版 放浪記」
...……金春町(こんぱるまち)のお兼の女髪結へ寄って見ましたが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...とにかく、お京に逢わせてくれ」「お京は、居らんよ」「どこに行ったかね? どうせ、髪結いか、風呂か、稽古じゃろ? それとも、友田喜造のところか?……仕込みにでも、呼びにやってくれ...
火野葦平 「花と龍」
...その日おかあさまは、わたくしに掛りきりで、風呂へもいっしょにはいり、髪結いや化粧や、着つけが終るまでそばをはなれず、うるさいほどあれこれと注文を付けた...
山本周五郎 「やぶからし」
...髪結(かみゆひ)は多く男である...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...本所の鶴吉(つるきち)という髪結(かみゆい)よ...
吉川英治 「江戸三国志」
...おかみさんがいつも掛りつけの髪結いが来ていた...
吉川英治 「忘れ残りの記」
...あの薄い生え際の毛へ、髪結いが、スキ櫛という歯の密な竹櫛を加えて、それを一と撫で一と撫で、いやというほど力をこめて梳くたび毎に、おかみさんの黄いろッぽい顔が紅くなって、眼じりも小鼻も吊り上がってしまい、まるで飴(あめ)が伸びるように顎から眉毛までを細長くして、反ッくり返りそうになっているのが、見ていると、何ともおかしくてならなかった...
吉川英治 「忘れ残りの記」
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