...我我の祖先は「神」と言ふ言葉に衣冠束帯の人物を髣髴(はうふつ)してゐた...
芥川龍之介 「侏儒の言葉」
...……遠山の桜に髣髴(ほうふつ)たる色であるから...
泉鏡花 「瓜の涙」
...その情趣を髣髴せしめたということだが...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...髣髴としてあらはれ渡れる偉大なる山の半面...
田山花袋 「秋の岐蘇路」
...『*容顏さながら凄きまで不死の神女に髣髴の斯る女性の故に因り宣べなり猛きトロイアと...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...運甓居雑詠百年旧府嘆二榛荊一四面山河自作レ城 十日雲容多北走 二州水勢尽西行 遠書毎托二海商至一閑話只憑二山衲迎一羇官雖レ孤幸無レ恙 回レ頭已没幾同庚公篁渡此地名区慰二老孱一風光秀偉満二衰顔一東西来合巴回水 南北相臨鼎峙山 亜竹檀欒遶二旧郭一遺民絡繹渡二荒関一晩晴試望二公篁渡一人在二灘声嵐気間一ともに山国盆地の郡衙三次の地勢風光気象を実に即いて髣髴と描出してゐる...
中村憲吉 「頼杏坪先生」
...汁粉(しるこ)であるか煮小豆(ゆであずき)であるか眼前(がんぜん)に髣髴(ほうふつ)する材料もないのに...
夏目漱石 「京に着ける夕」
...奥の全く暗いため何物をも髣髴(ほうふつ)する事ができなかった...
夏目漱石 「行人」
...これらの花々は過ぎ去った日の還らぬことどもを髣髴と眼の前に漾わす...
原民喜 「夢と人生」
...髣髴(ほうふつ)として意気な声や微妙な節廻しの上に顕(あら)われて...
二葉亭四迷 「平凡」
...ピラミツドを造営するエヂプト人の有様などが髣髴された...
牧野信一 「鬼の門」
...やはり折にふれては肉眼に髣髴とする絶対の存在だ...
牧野信一 「凩日記」
...見える彼と同じくまざ/\と余の眼前に髣髴させた...
牧野信一 「西瓜喰ふ人」
...絶え間もなく相争ふ有様は恰も古代の火論家水論家が剣の間に舌端の火花を飛せて各自の主張を完うしようとした趣きを髣髴させる概があつた...
牧野信一 「ゾイラス」
...島の磯方(いそべ)に行き倒れた在りのまゝなる吾身の夢に髣髴とするのは...
牧野信一 「半島の果にて」
...美人髣髴(ほうふつ)として前にあり...
正岡子規 「俳人蕪村」
...絶対美の世界を我々の眼前に髣髴させるのである...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...小さい庭に雑然と木を植え込んだ庭ほど緊張を失った生活を髣髴せしめるものはない...
室生犀星 「日本の庭」
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