...然し書斎の仕事からすっかり解放された時のヘルンは実に春風駘蕩たる幸福感に満ちみちてゐました...
稲垣巖 「父八雲を語る」
...春風駘蕩(たいとう)というような長閑(のどか)なユックリとした日は一日もなかったようだ...
内田魯庵 「八犬伝談余」
...櫻の咲く頃は、春風駘蕩、猫も杓子も浮れ出す...
大町桂月 「久地の梅林」
...真に駘蕩たるものがございました...
太宰治 「右大臣実朝」
...まことに春風駘蕩(たいとう)とでも申すべきであって...
太宰治 「散華」
...春風駘蕩の美徳もうらやましいものには違ひないが...
太宰治 「津軽」
...春風駘蕩(しゅんぷうたいとう)の部屋である...
太宰治 「パンドラの匣」
...人世を住みよくする駘蕩(たいとう)の春風に変わる日の来るのを待つよりほかはないであろう...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...この渾然(こんぜん)として駘蕩(たいとう)たる天地の大気象には叶(かな)わない...
夏目漱石 「草枕」
...駘蕩(たいとう)たる紺碧の波に浮ぶ...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...依然として駘蕩たる面持ちで加十の方に振返り...
久生十蘭 「魔都」
...……枯草ノ雨ニ逢ヒ轍鮒ノ水ヲ得タル幸運ニ際会スルコトヲ得テ本誌ハ為メニ蘇生シ今後続々出版スルコトヲ得ルニ至リ秋風蕭殺ノ境カラ急ニ春風駘蕩ノ場ニ転ジタ是レハ全ク中村先生ガ学術ニ忠実ニ情誼ニ厚ク且ツ仁侠ノ気ニ富ンデ居ラルヽノ致ス所デ私ハ同先生ニ向ツテ衷心カラ感謝ノ意ヲ表スルモノデアル……これは全く中村先生が学術に忠実で...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...春色駘蕩(たいとう)たる日牝馬慾火に身を焼かれ...
南方熊楠 「十二支考」
...春陽駘蕩(しゅんようたいとう)たりという景色で...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...常に春風駘蕩(たいとう)といった人格であった...
山本周五郎 「思い違い物語」
...揺らめく花園のように駘蕩(たいとう)として流れていった...
横光利一 「街の底」
...むかしから春風駘蕩派(しゅんぷうたいとうは)だからな...
横光利一 「旅愁」
...好晴の下(もと)に浮ぶ淡(あは)い青靄(せいあい)の気が眸中(ぼうちう)の山野(さんや)を春の如く駘蕩(たいたう)たらしめるのであつた...
與謝野寛・與謝野晶子 「満蒙遊記」
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