...音なき河は千載に香る名をこそ流すらむ...
石川啄木 「雲は天才である」
...杉の樹脂(やに)の香る空氣を吸つた...
石川啄木 「赤痢」
...寒き風人持ち来る煖炉(だんろ)かな昭和三年十二月ゆるやかに水鳥すすむ岸の松昭和四年一月此村を出でばやと思ふ畦(あぜ)を焼く昭和四年二月虻(あぶ)落ちてもがけば丁字(ちょうじ)香るなり昭和四年三月十八日 発行所例会...
高浜虚子 「五百句」
...夏は白い山百合が香る...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...海濱隨處に瑰(まいくわい)の花が紫に咲き亂れて汐風に香る...
徳冨蘆花 「熊の足跡」
...アカシヤの香る並樹道を一人できままに歩いてみたいものなり...
林芙美子 「新版 放浪記」
...アカシアのプンプン香る並樹舗を...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...その奥ゆかしさの香る女に違いあるまい...
藤野古白 藤井英男訳 「人柱築島由来」
......
山川登美子・増田雅子・與謝野晶子 「恋衣」
...なつかしく香るのが...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...まだ壁の匂いがツンツン香る...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...愁ひ来て丘にのぼりて酸(す)の香る蜜柑もぐなり悲しみの青き蜜柑を栗林こえて見ゆるは背きにし君の町なるぞゆふぐれに深く沈みて掌(て)にしみる青き蜜柑よそをかみて何を思はむ昔(かみ)の日は皆空しきにああされど君も寂しとこの丘の青き蜜柑のその香りなぜか愛でたり自らの影をふみつつゆふぐれの丘を下りき掌に悲し青き蜜柑よ...
森川義信 「青き蜜柑」
...よく香るよりは香らざるを好む...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...常によく香るものはくさし...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...如何なれば休むひま無く香るや...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...たとひ香ることは身一つに過ぎずとも...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...べにと薄黄に香る薔薇...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
...――山の裳裾(もすそ)の広い原に麦は青々とのび菜の花は香る...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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