...彼女の床には菖蒲(しょうぶ)の香りが馥郁(ふくいく)と漂っていたのでありますが――...
モオパッサン 秋田滋訳 「墓」
...たぶん新たにうまれた本能のように盲目的に非効果的にではあろうがかすかに神聖さの香りすら表現をもとめてまさぐりつつあり...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...香りの高い煙が、真白な天井へゆるく立昇っていった...
豊島与志雄 「阿亀」
...かすかに化粧の香りをさせてる...
豊島与志雄 「白木蓮」
...仙人掌の花はより崇高な気品とより多く余韻のある香りとを持っている...
豊島与志雄 「二つの途」
...あんたはそこで贅沢の香りをかいだ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...土と草の香りがほのかに漂い...
久生十蘭 「川波」
...朝になれば陸風(りくかぜ)がアフリカの香りを運んでくるのだ...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...世界を美と香りで驚かすしろものだ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...この世にない香りがするとか」叔父の目がぎらつき...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「黄金薔薇」
...丁字の花の香りに氣づき...
牧野信一 「城ヶ島の春」
...ムツとする程な甘い香りが...
牧野信一 「妄想患者」
...へ――黄金(こがね)いろだね――いい香りだね」すうっと...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...浅黄の衿は白いくびにじゃれる蛇の様になよやかに巻きついて手は二の腕位まで香りを放ちそうに出て腰にまきついて居る緋縮緬のしごきが畳の上を這って居る...
宮本百合子 「お女郎蜘蛛」
...美くしい友禅の影はなくて檜の白木香り高い裡に静かに親属の手によって納められ...
宮本百合子 「悲しめる心」
...我々によき香りなしと...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「この酒の味と香りは珍重だ...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...葉巻の香りが私を追つて来る...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集」
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