...畳一畳(じょう)がた日のさしこむ茶の間の六畳で二人は朝餉(あさげ)の膳(ぜん)に向かった...
有島武郎 「或る女」
...ある思ひ出思ひ出を哀しきものにせしは誰ぞ君がつれなき故ならずたけのびそめし黒髮を手には捲きつゝ言はざりし戀の言葉のためならず嫁ぎゆく日のかたみとて忘れてゆきし春の夜のこのくすだまの簪を哀しきものにしたばかり夕餉時夕方になつてひもじくなると母親(おふくろ)のことを思ひ出します...
竹久夢二 「砂がき」
...午餉(ひるげ)を終えて今しも圃(はた)に出(い)で行くなるべし...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...二十分ばかりも――或はもっと短かかったかも知れないが――空の餉台と一緒に待たせられた...
豊島与志雄 「悪夢」
...光子は半身を餉台にもたせかけ火鉢の上にのり出して...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...朝餉終りて坊を辭して出づ...
長塚節 「草津行」
...お勝手でせっせと夕餉(ゆうげ)の仕度でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ひとり夕餉ををはりて...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...……康子が夕餉の支度にとりかかる頃には大概...
原民喜 「壊滅の序曲」
...やがて煙のやうに湯氣の騰る暖い朝餉の膳に私達は向つた...
水野仙子 「白い雌鷄の行方」
...夕餉(ゆうげ)の時老女あり菊の葉...
森鴎外 「みちの記」
...夕餉(ゆうげ)にも姿をみせなかった...
山本周五郎 「いさましい話」
...……夕餉の膳に向おうとしているとき...
山本周五郎 「菊屋敷」
...夕餉(ゆうげ)には小松がみやげに持って来た山鳥を割いて出した...
山本周五郎 「日本婦道記」
...寝台の上にさし向いで吸取紙を茶餉台代りにしているので...
横光利一 「旅愁」
...共に朝餉(あさげ)でも」「いえ...
吉川英治 「私本太平記」
...夕餉(ゆうげ)でも共にしようよ...
吉川英治 「私本太平記」
...同時にまた、その人の思い出せないうちは、この夕餉の箸も、取ってよいか悪いかに迷わずにいられない...
吉川英治 「親鸞」
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