...職に就かなきゃ女房子供が飢えるからな...
梅崎春生 「蜆」
...休みを与えらるるのは彼ら飢えた狼に肉を見せびらかすと同じことである...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...飢えと、寒さと、腹下しと、六日間の野宿のあとで、縛られ、小突かれ、車で方々を引っ張り廻されて、誹謗(ひぼう)に抗し屈辱に堪え、或は瞋(いか)り、或は悶(もだ)え、或は悔(くや)みなどしたとすれば、さしもの父も痩せずにはいなかったであろう...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...――おかげで飢えないでゐられます...
種田山頭火 「一草庵日記」
...――覚えているだろう? イエズスが四十日の間荒野で断食していた時、飢えを覚えたら、悪魔が近づいて傍らの石ころを指さし、全能の者ならばこれをパンに変えて食ったらよかろう、と言ったね...
永井隆 「この子を残して」
...その愚痴がおかしいといって、聞きながら駒井甚三郎が笑い出すと、田山白雲は何のことだかわからないが、マドロス氏がしきりに手まねをしながら、ポテト、ポテトという語を繰返すものですから、白雲が横の方から口を出して、「ポテトというのは、何ですか?」「それは例の、ジャガタラいものことだよ」「ははあ、あのジャガタラか……」白雲がなるほどとうなずくところを、駒井が翻訳して、この男が仲間からいじめられて船を逃げ出す時に、ジャガタラいもを一袋持って海へ飛び込んだが、ジャガタラいもが荷になって思うように泳げない、そこでやむなくジャガタラいもを打捨てて泳いだら、捨てて間もなく岸であった、こんなことならジャガタラいもを捨てるんではなかった、今更ジャガタラいもが惜しい、あのジャガタラいもさえあれば、飢えに迫って、こんな憂目を見なくても済んだに……と今この男がジャガタラいもに向って、かずかずの恨みを述べているところだ……駒井が白雲に話して聞かせると、白雲が、はじめて大口あいてカラカラと笑いました...
中里介山 「大菩薩峠」
...飢えた獣の感情に似る他はないのではあるまいか...
中原中也 「感情喪失時代」
...灼(や)きつくような情慾に飢えていた青年時代に...
萩原朔太郎 「老年と人生」
...今から飢えて行く私達なのだ...
林芙美子 「放浪記(初出)」
...子供らと一緒に飢え凍えている状態を想像して...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...令子は飢えたように空を仰いだが...
宮本百合子 「黒い驢馬と白い山羊」
...その後に(一九一四年)ひきつづくひどいドイツの生活の中から飢えや失業...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...(c)「飽満によって我々の飢えを喚起しようと思うな...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...飢えている境遇は忘れて...
吉川英治 「江戸三国志」
...――洛中の食糧不足に足利勢の兵色がとみに痩せ飢えていたことがその敗因であったと言いうる...
吉川英治 「私本太平記」
...兵の飢えはしのがれたが...
吉川英治 「私本太平記」
...飢えて川辺の舟に寝ていたらしいが...
吉川英治 「新書太閤記」
...山で飢え死させるがよい」「こいつ」跳びかかって...
吉川英治 「宮本武蔵」
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