...「アラッ」一声叫ぶやいなや、手に持っていた写真をいきなり帯の間へ隠すと、お花は、赤くなったり、青くなったり、へどもどしながら、でも、やっと気を沈めて、「まあ、私、ちっとも存じませんで、ご免なさいまし」そのいやにしとやかな口の利き方からして、食わせものだ...
江戸川乱歩 「接吻」
...また反対にとんでもない食わせものの与太者(よたもの)を大人物に変化させることもできるのは天下周知の事実であって事新しく述べ立てるまでもないことであろう...
寺田寅彦 「ジャーナリズム雑感」
...必ず夫は食わせものであるのだ...
戸坂潤 「科学的精神とは何か」
...ありゃあれで存外の食わせものですぜ」「…………」「それから...
中里介山 「大菩薩峠」
...食わせものの似而非(えせ)韻文である...
萩原朔太郎 「詩の原理」
...奴は全く食わせものだったのだ...
浜尾四郎 「夢の殺人」
...存じませぬが――一たい食わせものと申して...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...どこの地方でも食わせものであることに...
宮本百合子 「今にわれらも」
...彼をけちん坊・高利貸・野心家・卑怯者・女好き・食わせもののえせ哲学者・などと口ぎたなく罵っているのだが...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...「あの男はとんだ食わせものよ...
山川方夫 「歪んだ窓」
...人品もよかったんだそうで」「そいつが食わせものだ」と...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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