...水を切った手が濡(ぬ)れたまま飛魚(とびうお)が飛ぶように海の上に現われたり隠れたりします...
有島武郎 「溺れかけた兄妹」
...比島の島々はまことに美しく、飛魚はとぶし、空はきれいだし、ああ、一体何年ぶりでの船旅だろうかと、すっかり、のんびりしてしまうのだった...
石川欣一 「比島投降記」
...わたしは非常に亢奮して何と言っていいやら「あ、閏土さん、よく来てくれた」とまず口を切って、続いて連珠の如く湧き出す話、角鶏、飛魚、貝殻、土竜……けれど結局何かに弾かれたような工合(ぐあい)になって、ただ頭の中をぐるぐる廻っているだけで口外へ吐き出すことが出来ない...
魯迅 井上紅梅訳 「故郷」
...その間に飛魚が何尾も群をなしてすつすつと飛ぶ...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...飛魚の體は銀色に光つてまるで砥ぎ澄ましたナイフを投付けたやうに見える...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...飛魚の頭が碎けたのではないかと思ふほど痛々しく感ぜられる...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...大きな飛魚は、滑空距離も長く、五十メートルも百メートルも、翅を休めないで飛んで行く...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...飛魚の飛んでをる海は長い航海者には一つの樂しい觀ものである...
海野十三(佐野昌一) 「南太平洋科學風土記」
...これに鴎(かもめ)が飛んでいたと書けば都合よけれども飛魚(とびうお)一つ飛ばねば致し方もなし...
寺田寅彦 「東上記」
...五月の飛魚と、甘藷と、甘蔗、それに林業くらゐが、この島の財政である...
林芙美子 「屋久島紀行」
...そこで印度洋上の飛魚も日本の赤とんぼになる訳である...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...飛魚の鰭(ひれ)のようだったと載す...
南方熊楠 「十二支考」
...日常よく食べる魚は、飛魚である...
山之口貘 「チャンプルー」
...眼球や脳髄まで食べたくなるような飛魚...
山之口貘 「チャンプルー」
...「中谷さんは石黒半兵衛という剣士を覚えていますか」「知っています」「飛魚という突の秘手で名高かったでしょう」「和幸のときも見ましたよ」「ああ...
山本周五郎 「風流太平記」
...お粂は四ツ目屋の新助の胸を突いて飛魚のように身をハネました...
吉川英治 「江戸三国志」
...飛魚(とびうお)のごとく敏捷(びんしょう)に活躍しだす...
吉川英治 「神州天馬侠」
...飛魚(とびうお)のように...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
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