...明日の晴を報ずる白い雲の千切れが刻々茜(あかね)色に夕映てゐる碧空に向つて飄々として上騰し...
近松秋江 「箱根の山々」
...或は西風寄せ來り勢猛く飄々と無邊の麥隴みだす時...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...物に憑かれたように飄々とうろついてる多くの男の影...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...ただ飄々と歩いてるとしか思えなかった...
豊島与志雄 「絶縁体」
...重たい風が飄々と吹く度に...
林芙美子 「新版 放浪記」
...歪んだ窓外の飄々としたあのお月様ばかりだ……...
林芙美子 「新版 放浪記」
...妙に飄々と心の中に風が吹きこむこの気持ちはどうしたことだらう...
林芙美子 「「リラ」の女達」
...本郷真砂町の宿から飄々と出て行ってしまった...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...闇黒の海の上を飄々と吹流されて行くうち...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...飄々と立ち現われて来たのはタヌキ嬢ならびに狐のコン吉の二人連れ...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...ひょろ高い着流しの後姿が、妙に、飄々としている...
火野葦平 「花と龍」
...彼はあまりに慌しく様々な未完成的作品を書き飛ばし飄々として居を定めぬといふ風な生活を送つてゐるので...
牧野信一 「新興芸術派に就いての雑談」
...「なあに僕は――」と私は故意に飄々と云ふのであつた...
牧野信一 「ダニューヴの花嫁」
...瓦斯が籠ると一緒に飄々として地を離れ...
牧野信一 「途上日記」
...飄々と風を呼んでゐる風情は...
牧野信一 「剥製」
...私が只今用意いたして居ります少しばかりの瓦斯が出来次第に私達は飄々とこの地上を離れます...
牧野信一 「変装綺譚」
...そこでその花下に在る開いた毛の為めに風に連れられ飄々と気中を浮び行って...
牧野富太郎 「植物記」
...幸田露伴のように飄々として居ればよい...
宮本百合子 「雨の小やみ」
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