...明日の晴を報ずる白い雲の千切れが刻々茜(あかね)色に夕映てゐる碧空に向つて飄々として上騰し...
近松秋江 「箱根の山々」
...或は西風寄せ來り勢猛く飄々と無邊の麥隴みだす時...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...物に憑かれたように飄々とうろついてる多くの男の影...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...上野山さんは飄々と酒を呑みよく話している...
林芙美子 「新版 放浪記」
...歪んだ窓外の飄々としたあのお月様ばかりだ……...
林芙美子 「新版 放浪記」
...バスケット一つの飄々とした私は...
林芙美子 「新版 放浪記」
...帰朝する途中、シンガポールや海防で南方の風景に憑(つ)かれ、マレーを振出しに、ジャワ、スマトラ、フィリッピンと、邦人のゴム園やサイザルの栽培地で絵を買ってもらいながら、二十年近く、飄々としていた...
久生十蘭 「蝶の絵」
...飄々と吼える強風と怒濤の晦冥のなかで...
久生十蘭 「ノア」
...木枯に吹き捲られながら飄々と有明荘の方へ上って行く...
久生十蘭 「魔都」
...飄々と有明荘を出て行った...
久生十蘭 「魔都」
...ひょろ高い着流しの後姿が、妙に、飄々としている...
火野葦平 「花と龍」
...彼の酒を愛した飄々とした生活...
堀辰雄 「萩原朔太郎」
...瓦斯が籠ると一緒に飄々として地を離れ...
牧野信一 「途上日記」
...飄々と風を呼んでゐる風情は...
牧野信一 「剥製」
...志ん生の飄々として「テニヲハ」の合わぬ話し振りの中に奇想天外な警句と愉快な諧謔の連続にいつしか聴き手を不可思議な八ッあん熊さんの世界に引き込んでゆく可笑(おか)しさ...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...幸田露伴のように飄々として居ればよい...
宮本百合子 「雨の小やみ」
......
三好達治 「朝菜集」
...飄々と歩いて来るのであった...
蘭郁二郎 「脳波操縦士」
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