...後藤とむき合った距離を颯々とちぢめていった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...冷かな朝風が颯々と吹き過ぎていた...
豊島与志雄 「人間繁栄」
...白雲丘陵の頂に搖曳し、松籟颯々、凉氣水の如し...
永井荷風 「荷風戰後日歴 第一」
...西風颯々、夜凉秋の近きを知らしむ...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...満目碧玉(まんもくへきぎょく)のごとく青嵐颯々(せいらんさっさつ)として生気躍動するを見る...
永井隆 「長崎の鐘」
...颯々(さっさつ)と風を切って走っている...
林芙美子 「新版 放浪記」
...渝(かは)らぬ契(ちぎ)りの誰(た)れなれや千年(せんねん)の松風(しようふう)颯々(さつ/\)として血汐(ちしほ)は殘(のこ)らぬ草葉(くさば)の緑(みどり)と枯(か)れわたる霜(しも)の色(いろ)かなしく照(て)らし出(い)だす月(つき)一片(いつぺん)何(なん)の恨(うら)みや吊(とぶら)ふらん此處(こゝ)鴛鴦(ゑんあう)の塚(つか)の上(うへ)に...
樋口一葉 「別れ霜」
...けれども亜米利加(アメリカ)人が往来を歩いた靴の儘(まま)で颯々(さっさつ)と上(あが)るから此方(こっち)も麻裏草履でその上に上(あがっ)た...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...普請は颯々(さっさつ)と出来る...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...艸花(くさばな)立樹(たちき)の風に揉(も)まれる音の颯々(ざわざわ)とするにつれて...
二葉亭四迷 「浮雲」
...突喊の脚並をねらつて颯々と鳴り響くのであつた...
牧野信一 「泉岳寺附近」
...間断もなく颯々と胸先を射られて来るのであつた...
牧野信一 「ペルリ行」
...しかも島に遊ぶこと一時間余り余りにも颯々とまともに安房上総から吹付けて来る涼風のため私は肌に粟をさへ生じて来て慌てゝかへりの舟へ乗込むことが屡々であつた...
正岡容 「山の手歳事記」
...草を描けば颯々たる風のわたる事も...
水上瀧太郎 「覺書」
...颯々(さっさつ)と世の無常をかなしむ松風の奏(かな)でと変ってゆく...
吉川英治 「宮本武蔵」
...颯々(さっさつ)と...
吉川英治 「宮本武蔵」
...潮の香のつよい風が颯々(さっさつ)と撲(なぐ)って通った...
吉川英治 「宮本武蔵」
...そして颯々(さつさつ)と雑草を薙(なぎ)る黝黯(あおぐろ)い風……...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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