...・春寒い鼠のいたづらのあと・春がしける日のなにもかも雑炊にしてすする・たたきだされて雨はれる百合の芽である・春時化のせせらぎがきこえだした・林も水があふれる木の芽土のしじまの芽ぶいてきた雑草草萠えるあちらからくる女がめくら籠りをれば風音の煤がふる暮れるまへの藪風の水仙の白さどこかで家が建つだいぶ日が長うなつた・やつと山の端の三日月さん追加一句春時化(シケ)...
種田山頭火 「其中日記」
...・夏草から人声のなつかしく通りすぎてしまう(マヽ)(松)・けさは何となく萱の穂のちるさへ・日ざかりちよろちよろとかげの散歩(松)・すずしさ竹の葉風の風鈴のよろしさ(雑)・風音の蚊をやく・風がでたどこかで踊る大(マヽ)鼓のひゞきくる樹明君に・あなたがきてくれるころの風鈴しきり鳴る七月廿三日曇――晴...
種田山頭火 「其中日記」
...擬音の淋しい風音に交じって...
寺田寅彦 「ラジオ雑感」
...窓外をかすめる風音ぐらいにしか感じなかった...
直木三十五 「南国太平記」
...外には風音もない...
永井隆 「この子を残して」
...輕風音無く去りて往く所を知らず...
長塚節 「草津行」
...このうす暗い雪洞の中で梢の風音にじっと耳を傾けていると...
中谷宇吉郎 「大雪山二題」
...昔の或る時代と少しも変りのない不安な状態に似たものが耳底にがうがうと風音のやうに吹き流れて来た...
林芙美子 「瀑布」
...客車を襲った強風音が聞こえたかもな...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「見えざる力」
...また風音で慌しくことあり気に現れて来てあたりを見廻し...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...そよぐ風音にも油断せずして行く程に何処(いづこ)にて踏み迷ひけむ...
夢野久作 「白くれない」
...――後は寂寞(せきばく)とした闇の風音...
吉川英治 「剣難女難」
...室町期かそれ以前の念仏踊りの遺風音楽でもあるのだろうか...
吉川英治 「随筆 新平家」
...ごうッと遠い風音も常なら気味の悪い筈だが...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...山の洞窟でしていた風音と似ていなくもない音が...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...そうすれば笛のような風音に意識を逸らされることがなくて済んだのにと思った...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...吹きすさぶ風音と発動機の轟音の中で我々は怒鳴り合ってなんとか会話を交わしたが...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...聞くだけでもう魂がかきむしられる思いのするその地獄のような風音(かざおと)こそ...
神西清訳 「ムツェンスク郡のマクベス夫人」
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