...その上顴骨(けんこつ)が高い...
芥川龍之介 「孤独地獄」
...下の大きな、顴骨の高い、耳と額との勝れて小さい、譬えて見れば、古道具屋の店頭の様な感じのする、調和の外ずれた面構えであるが、それが不思議にも一種の吸引力を持って居る...
有島武郎 「かんかん虫」
...板のやうな掛蒲団を袷(あはせ)の上に被(かぶ)つて禿筆(ちびふで)を噛みつゝ原稿紙に対(むか)ふ日に焼けて銅(あかゞね)色をしたる頬の痩(やつ)れて顴骨(くわんこつ)の高く現れた神経質らしい仝(おな)じ年輩(としごろ)の男を冷やかに見て...
内田魯庵 「貧書生」
...職業の問題があったのかも知れないな」栄介は憮然として顴骨(かんこつ)のあたりを押えた...
梅崎春生 「狂い凧」
...そして更に下顎に及ぶ間延びのした大顴骨筋と咬筋とそれを被(おお)う脂肪と...
高村光太郎 「九代目団十郎の首」
...【話し話し吸殻(すいがら)を吹いて、二ふく目の淡巴菰を詰め、それに火をつけて旨(うま)そうに吸い】ところで、その周ですが、それから数日すると、顴骨が高くなり、頤(あご)の骨が張って、そのうえ口鬚が生えてりっぱな顔になりましたが、それからまた一年半ばかりすると、また夢に鬚の白い黒い冠を着けた老人が、長い塵尾(ほっす)を持って、金甲神を伴れて来て、お前の腹を易えてやろう、といったかと思うと、伴れている金甲神が、もう刀を抽(ぬ)いて、周の腹を裂いて、その臓腑をだして滌(あら)って、もとの通りに収め、その上に四角な竹の笠を伏(ふ)せ、釘をその四隅に打ったが、その椎(つち)の音が周の耳に響くがすこしも痛くはなかったそうですよ...
田中貢太郎 「涼亭」
...毛を毟(むし)られたシャモみたいな肌になり顴骨(かんこつ)がとびだし...
田中英光 「さようなら」
...まことに能は、われ/\同胞の男性の美を最高潮の形において示しているので、その昔戦場往来の古武士が、風雨に曝された、顴骨の飛び出た、真っ黒な赭顔にあゝ云う地色や光沢の素襖や大紋や裃(かみしも)を着けていた姿は、いかに凜々しくも厳かであっただろうか...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...顴骨(ほおぼね)が広く...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...顴骨が少し高まって見えたが...
豊島与志雄 「反抗」
...顴骨(かんこつ)から下がぐっと落ちこんで...
中島敦 「斗南先生」
...痩(や)せた・顴骨(かんこつ)の出た老人で...
中島敦 「狼疾記」
...顴骨が突起して唇が相当に厚ぼったく...
野上豊一郎 「七重文化の都市」
...鼻も顴骨(くわんこつ)も高く顎(あご)が開いて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...蒙古風の顴骨を小高く露出させ...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...古賀は顴骨(かんこつ)の張った...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...鼻と顴骨(くわんこつ)と腮(あご)とが顔に四箇の突角を形づくつてゐる男で...
森鴎外 「金貨」
...その顴骨(かんこつ)や...
吉川英治 「平の将門」
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