...今更体面を、顧慮する如きは、姑息(こそく)の見(けん)であると云う...
芥川龍之介 「煙管」
...併し彼は民族的傳統を顧慮することによつて自己の内容に限定を附することを屑しとしない...
阿部次郎 「三太郎の日記 第三」
...私は屡(しばしば)私自身に顧慮する以上に外界に顧慮しているからだ...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...それはいささかも彼らの意志を顧慮することなく直接行動に訴えて強制的にこれを館へ連行することであるが...
伊丹万作 「雑文的雑文」
...本当に何物も顧慮する隙を持たなかつた...
伊藤野枝 「乞食の名誉」
...海の深浅を顧慮する法さへ知らぬ大馬鹿者の造つた船なら...
太宰治 「右大臣実朝」
...何故に人々が日本精神を説くに当ってかかる遠い過去の時代をのみ顧慮するかということである...
津田左右吉 「日本精神について」
...そんな事を顧慮するのは無益といふよりも却(かへ)つて有害である...
戸川秋骨 「翻訳製造株式会社」
...而(しこう)して彼これを以て人を勧めて顧慮する所なきのみならず...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...一座の空気を顧慮する余裕もなかったようであります...
豊島与志雄 「立札」
...洋物は全く彼には無經驗であるが彼はそんなことを顧慮する暇さへ無かつた...
長塚節 「商機」
...彼の顧慮する所では勿論ないらしかつた...
平出修 「公判」
...之に生涯安心の生計を授けて學事の外に顧慮する所なからしめ...
福澤諭吉 「人生の樂事」
...体裁を顧慮することなく...
牧野信一 「木枯の吹くころ」
...その食う必要を顧慮する必要の無い苦楽座が...
三好十郎 「俳優への手紙」
...諸方の言語の同系異系を顧慮することを要する一事なり...
森林太郎 「「言語の起原」附記」
...それを顧慮するのも...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...「世界苦を絶えず顧慮する快楽主義」...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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