...平然とあぐらをかいた乞食は髭(ひげ)だらけの顋(あご)をさすりながら...
芥川龍之介 「お富の貞操」
...顋(あご)を少し前へ出すやうにして...
芥川龍之介 「戯作三昧」
...鼻は――あの顋(あご)の下まで下っていた鼻は...
芥川龍之介 「鼻」
...……」僕は実はこの時には先生に顋を振られた時よりも遙かに参らずにはゐられなかつた...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...角顋は、久米のような気もするし、久米でないような気もする...
芥川龍之介 「MENSURA ZOILI」
...顋髯を生やした主人の顔は紅毛人の船長と変りはない...
芥川龍之介 「誘惑」
...髯の跡の青い顋を突き出して...
石川啄木 「我等の一團と彼」
...それで小説家になれる積りか」と髭の延びた顋を撫で「ゆく/\はなれるとしても目下の處どうして衣食する積りか」と主人公は附加へた...
高濱虚子 「俳諧師」
...よほどのぼんやりでない限りのすべての観客のおのおのの大きくみはった二つの眼が一斉にこの不幸な犯人の左の顋下の大きな痣に注がれるのはもとより予定の通りである...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...彼方(あっち)へ廻ってもいかれるだ」辰爺さんが顋(あご)でしゃくる...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...顋(あご)に些(ちと)の疎髯(そぜん)をヒラ/\させ...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...番頭は飛んだ厄介者(やっかいもの)と言わぬばかりに小僧に顋(あご)を向け...
中里介山 「大菩薩峠」
...そうか」顋(あご)をしゃくって忠作は家の中へ入ってしまうと...
中里介山 「大菩薩峠」
...早く顋(あご)の下へ髯(ひげ)を生やして...
夏目漱石 「思い出す事など」
...髯を剃(そ)るといいと露子が云ったのだが全体の髯の事か顋髯(あごひげ)だけかわからない...
夏目漱石 「琴のそら音」
...顋(あご)の下に真珠の留針(とめばり)を輝かしている...
夏目漱石 「野分」
...顋(あご)を長くしてぼんやりしている...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...『竹取物語』が神仙譚や、竜の顋の玉や、火鼠の皮やをかりて来たことは、この珍らしさの為で、磯の上(かみ)の中納言が燕の子安貝をとろうとした失敗譚や、帝が武士に命じて竹取の家を囲ませた咄(はなし)などは、おかしみのためである...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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