...しやくんだ顋(あご)を乙に振つて...
芥川龍之介 「鼠小僧次郎吉」
...……」僕は実はこの時には先生に顋を振られた時よりも遙かに参らずにはゐられなかつた...
芥川龍之介 「文芸的な、余りに文芸的な」
...顋髯(あごひげ)の長い老人さへやはり船ばたに立つてゐたのである...
芥川龍之介 「本所両国」
...今度は顋(あご)をなでて歩いていた...
芥川龍之介 「三つの窓」
...私の前に坐つて居る市子の方を顋(あご)で指し乍ら...
石川啄木 「菊池君」
...しかも見物人にちょうどその目標となるべき左の顋(あご)下の大きな痣(あざ)を向けるように坐らせておく必要があるのである...
寺田寅彦 「初冬の日記から」
...悪口(あっこう)して困ったンだ」と武男は顋(あご)もて今来し姥(うば)と女中をさす...
徳冨蘆花 「小説 不如帰」
...その棒をムク犬の顋(あご)の下へ突き込みました...
中里介山 「大菩薩峠」
...爽(さわや)かな飲料で絶えず舌と顋(あご)と咽喉(のど)を洗っていなくてはいたたまれなかった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...その上に顋(あご)を載せたなり自分の顔を眺めていた...
夏目漱石 「行人」
...私は顋(あご)で隣の室を指すようにして...
夏目漱石 「こころ」
...顋(あご)の下に真珠の留針(とめばり)を輝かしている...
夏目漱石 「野分」
...「ああ云う連中が行くのかい」と高柳君が顋(あご)で馬車の後ろ影を指(さ)す...
夏目漱石 「野分」
...女の方はちっとも見返らないで杖(つえ)の上に顋(あご)をのせて...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...顋の短かい眼の大きなその子は...
夏目漱石 「道草」
...話してはいけぬ話してはいけぬと顋(あご)と眼で主人に合図する...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...向ふを見ながらお喜乃に顋(あご)でしやくつた権はひよつこり酒場の前にやつて来たお喜乃は駈け寄つて権の手を握つた権さんお前どうした...
野口雨情 「都会と田園」
...徒然(つくねん)と机の辺(ほとり)に蹲踞(うずくま)ッたまま腕を拱(く)み顋(あご)を襟(えり)に埋めて懊悩(おうのう)たる物思いに沈んだ...
二葉亭四迷 「浮雲」
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