...そこには葉子自身が期待もしなかったような廃頽的(はいたいてき)な同時に神経質的なすごくも美しい一つの顔面が創造されていた...
有島武郎 「或る女」
...吾人はそれを耳にする時頽廃の如何に恐るべきものなるかを知りそれに対して社会の意識が夙(つと)に覚醒せられたのではあるまいかと思はずにはゐられないのである...
エレン・ケイ 伊藤野枝訳 「恋愛と道徳」
...不思議な頽廃にいるおかげで...
梅崎春生 「風宴」
...最早(もはや)如何(いかん)ともすべからざる頽勢(たいせい)を一挙に輓回(ばんかい)せんがために...
海野十三 「独本土上陸作戦」
...こうした敗頽(はいたい)気分に満ちている...
江見水蔭 「怪異暗闇祭」
...人家の雪頽(なだれ)にも家を潰(つぶ)せし事人の死たるなどあまた見聞(みきゝ)したれども...
京山人百樹刪定 「北越雪譜」
...頽廃(たいはい)したままで残っていたりした...
高浜虚子 「丸の内」
...その頃は鎧師などいう職業はほとんど頽(すた)っていましたし...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...破(やぶ)れ頽(くづ)れたる僧庵に如何なる夜をや過し給へる...
高山樗牛 「瀧口入道」
...それもだんだん頽(くず)されそうになって来た...
徳田秋声 「黴」
...要するに一方それ程風紀が頽廃した時であるが...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...同時に静止と満足と衰頽との如何に懐しいものであるかを感ずる...
永井荷風 「海洋の旅」
...伯龍のやうな廃頽期の江戸の世相人心を描破するものにとつては...
正岡容 「吉原百人斬」
...『想山著聞奇集』に見えたわが邦の頽馬というは...
南方熊楠 「十二支考」
...それが今では頽(すた)れて来た...
夢野久作 「東京人の堕落時代」
...文醜(ぶんしゅう)などを斬り白馬の重囲を蹴ちらして彼の頽勢(たいせい)を盛り返したなど――その報恩としてやったものでござる...
吉川英治 「三国志」
...くたくたと生首の上に頽(たお)れ...
蘭郁二郎 「鉄路」
...「生きた死骸」になるはずの頽廃者に過ぎなかった...
和辻哲郎 「転向」
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