...まことに頼りのない父だが...
徳田秋声 「縮図」
...其後(そのご)父親が死んだ折(をり)には差当(さしあた)り頼りのない母親は橋場(はしば)の御新造(ごしんぞ)の世話で今の煎餅屋(せんべいや)を出したやうな関係もあり...
永井荷風 「すみだ川」
...その後(ご)父親が死んだ折には差当(さしあた)り頼りのない母親は橋場の御新造の世話で今の煎餅屋(せんべいや)を出したような関係もあり...
永井荷風 「すみだ川」
...斯様(かよう)に物案じ顔に頼りのない様子は...
中里介山 「大菩薩峠」
...幼少時代から身寄り頼りのない生来の漂泊者樹庵は...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...これほど手頼りのない武器もすくない...
久生十蘭 「海豹島」
...息子達は法律によって年老いた頼りのない両親を養うことを命ぜられている...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...悲しみとか失敗(しくじ)つたとかいふ區別のない一種の空腹時のやうな手頼りのない感慨が...
室生犀星 「神のない子」
...「主人が賭け試合を致しましたのは悪うございました、わたくしもかねがねそれだけはやめて下さるようにと願っていたのでございます、けれどもそれが間違いだったということが、わたくしには初めてわかりました、主人も賭け試合が不面目だということぐらい知っていたと思います、知っていながらやむにやまれない、そうせずにいられないばあいがあるのです、わたくしようやくわかりました、主人の賭け試合で、大勢の人たちがどんなに喜んだか、どんなに救われた気持になったか」「おやめなさいたよ、失礼ですから」「はい、やめます、そして貴方にだけ申上げますわ」おたよは向き直り、声をふるわせて云った――、「これからは、貴方がお望みなさるときに、いつでも賭け試合をなすって下さい、そしてまわりの者みんな、貧しい、頼りのない、気の毒な方たちを喜ばせてあげて下さいまし」彼女の言葉は嗚咽(おえつ)のために消えた...
山本周五郎 「雨あがる」
...他に身より頼りのないこの女と...
夢野久作 「暗黒公使」
...」頼りのない声で千鶴子はそう云うとテーブルの上の新しいネクタイを手にとって眺め...
横光利一 「旅愁」
...頼りのない変な鳥が...
吉川英治 「銀河まつり」
...ああいう頼りのないお身の上ですからむしろあなたに願っても生涯を見ていただきたいくらいなものですよ...
吉川英治 「三国志」
...そんな頼りのない方を遠国までたずねてゆくよりは...
吉川英治 「宮本武蔵」
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