...彼れは頭に一撃を加へられたやうに頸をすくめてもう一度あたりを見まはした...
有島武郎 「幻想」
...時々肢で蚊を追ふために頸輪を打つ音だといふことがはじめて判つた...
飯田蛇笏 「薄暮の貌」
...血色(けつしよく)の好(い)い頸元(えりもと)に伸(の)し掛(かゝ)ると向(むかう)は後退(あとすざり)もしない...
マルセル・シュヲブ Marcel Schwob 上田敏訳 「癩病やみの話」
...「国境ヨリ 真珠ノ頸飾ノ密輸甚ダ盛ンナリ...
海野十三 「軍用鼠」
...血が頬をつたって頸に流れていたら...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「オスカー・ブロズキー事件」
...みるみる頸をうなだれた...
太宰治 「逆行」
...そうしてあなた、たった一と晩ですっかり馴(な)れ馴れしくなっちまって、ナオミさんは其奴(そいつ)のことを『ウイリー、ウイリー』ッて呼ぶんだそうです」「じゃ、洋服や頸飾りも、その男に買わせたんでしょうか?」「買わせたのもあるらしいし、西洋人のことだから、友達の女の衣裳(いしょう)か何かを借りて来て、そいつを一時間(ま)に合わせたのもあるらしいッて云うことですよ...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...右から来る矢をカワすべく頸(くび)を左へ捻(ね)じた途端に...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...頸(くび)はいかにも頑固だが魚のような眼をもった彼はイズレールゴーという名で通っている...
チェスタートン Chesterton 直木三十五訳 「作男・ゴーの名誉」
...人を斬らんと欲してかえって短剣をば己れが頸上に擬するものにあらずや...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...俗に云う胞(えな)を頸(くび)へ捲(ま)きつけていた...
夏目漱石 「門」
...それに結び目の輪になったのを付けて女の頸(くび)を入れておいて...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...ひといきに頸動脈をふかく斬られ...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...彼女は少し彼女の頸をかしげてゐた...
堀辰雄 「プルウスト雜記」
...姦夫の男根を姦婦の頸に繋いだとか...
南方熊楠 「十二支考」
...越後の西頸城(にしくびき)郡ではネコソバエ...
柳田國男 「野草雑記・野鳥雑記」
...共に頸(くび)をのばして...
吉川英治 「新書太閤記」
...翡翠(ひすい)の耳環(みみわ)が充血した頸(うなじ)で小さく揺れ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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