...道は暗く靜けき森林の間を通じたり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...何か御用でも有つて?』と靜子も促す...
石川啄木 「鳥影」
...靜子は、あの事あつて以來兄信吾の心が解りかねた...
石川啄木 「鳥影」
...何程念を入れて聞いても、絶對の靜かさは、到底永久の眠りである...
伊藤左千夫 「奈々子」
...只時々小供が咳をするのが氣になる限り自分はこの靜かな春の夜を誰にも邪魔をされずに小供が眠るのを厭がる樣に用も無いのに眠るのが惜しくて起きて居るのだ...
千家元麿 「自分は見た」
...春三郎が醫局に行つてゐる間看護婦は文太郎の寢臺の裾に椅子を置いて暫く容子を覗つてゐたが先刻來に引較べ餘り靜かになつたので欠(あく)びを催した...
高濱虚子 「續俳諧師」
...筆を執るのには此家に居ては氣兼だからといつて翌朝から麩屋町の柊屋の靜かな一間を借りて移ることになつた...
高濱虚子 「俳諧師」
...二番目の伯父が死んでも靜岡の伯父は一向に平氣な顏をしてゐた...
辻村もと子 「春の落葉」
...あたりが靜かになった時...
アネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ Annette von Droste=Hulshoff 番匠谷英一訳 「ユダヤ人のブナの木」
...靜寂(ひつそり)と人氣(ひとけ)のなくなつた時(とき)は頽廢(たいはい)しつゝある其(その)建物(たてもの)の何處(どこ)にも生命(いのち)が保(たも)たれて居(ゐ)るとは見(み)られぬ程(ほど)悲(かな)しげであつた...
長塚節 「土」
...今まで冷靜そのもののやうに取濟して居たお千代でした...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お靜の持つて來た羽織に手を通しました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...大徳屋さんか」「私から申しませう」大徳屋は靜かに膝を進めます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...戀女房のお靜に遲い晩飯の仕度をさせてゐると...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...もう上野の子刻(こゝのつ)(十二時)が鳴りましたが――」女房のお靜は驚いて見上げました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...灯を持つて參りますから」房吉は靜かに身を反して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...お前は氣がつかなかつたか?」平次は靜かに訊きました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...橋の下は水流は靜かであるが...
吉江喬松 「山岳美觀」
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