...何んだか心淋しいやうな気持で注意した――インスピレーションが離れ去つて行くやうな――表面的な自己に還(かへ)つて行くやうな――何物かの世界から何物でもない世界に這入つて行くやうな――呼吸が静まるのと正比例して...
有島武郎 「An Incident」
...相手の激情の静まるのを待っていた...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...水が静まると、船の舷側の影の、綺麗な、ぴかぴかする砂の上に、彼が体をちぢこめて横っているのが見えた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...夜な夜な朋輩(ほうばい)の寝静まるのを待って独り稽古をしたのである...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...怪我人を出さぬうちに事が静まるのは自分の望むところであるし...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...静まる時は静まる心である...
田山録弥 「社会劇と印象派」
...風が少し静まると...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「犬を連れた奥さん」
...そのクラソトキンというのは、ここの役人ですから、またやっかいなことが起こるかもしれません……」「僕はあなたに御忠告しますが」とアリョーシャは熱心に続けた、「当分のあいだ、気が静まるまで、全然、学校へやらないほうがいいですよ、……そのうちに、怒りも納まるでしょうからね……」「怒り!」と二等大尉は引き取った、「全く怒りでございますね! ちっぽけな子供ですが、大きな怒りをもっていますよ...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...騒ぎが一先ず静まると...
豊島与志雄 「牛乳と馬」
...荒波が一時静まることはあっても...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...狂うような喝采(かっさい)が静まると...
豊島与志雄 「手品師」
...荒い息使いが静まると...
豊島与志雄 「特殊部落の犯罪」
...ラファイエット将軍万歳!」(訳者注 常に革命に味方せる当時の将軍)その感興が静まると...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...想念の動揺は一日にして静まるものではない...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...眩(まば)ゆき眼はしんと静まる...
夏目漱石 「虞美人草」
...波風が静まるとまたお題目に戻る...
久生十蘭 「重吉漂流紀聞」
...彼は川のふちにたどり着いて稍暫く頭をかかへたまま息絶れの静まるのを待つた...
牧野信一 「茜蜻蛉」
...さういふ景色のなかに動かない秋がこもつてゐるのかわたしの歩みも静まる心もちがする湿(しめ)りをおびた土の上に垣根の葉が濃(こま)かい...
室生犀星 「忘春詩集」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??