...静々(しずしず)と二階へ上がって行った...
有島武郎 「或る女」
...最後に静々と出払って...
泉鏡花 「婦系図」
...それから大きな山芋に金襴の衣を被せたような教誨師とが静々と入って来た...
海野十三 「不思議なる空間断層」
...それを幾町が間か肩にかつぎあげずに静々と柳橋から蔵前通りへと練り歩かれた...
長谷川時雨 「お墓のすげかえ」
...人気のあった坊さんが静々と奥院の方から仄(ほのか)にゆらぎだして来て...
長谷川時雨 「西川小りん」
...ふりかえると念丈の頂の雲のとばりは静々と引きあげられて...
細井吉造 「二つの松川」
...金髪の巻毛の鬘をいただいた総理大臣が内務大臣を相手に何事かを語らひながら静々と馬車をすすめて行く...
牧野信一 「変装綺譚」
...静々と落ちて来た」とえがいてゐられるが...
正岡容 「下町歳事記」
...また中の君を慰めるような話をも静々としていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...温かい,静々室の内を見廻わして見たが...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...見返りもせずに静々と廊下に出て行った...
夢野久作 「女坑主」
...その間を王の行列は静々と通り抜けて...
夢野久作 「白髪小僧」
...天井裏から真紅の本幕が静々と降り初めた...
夢野久作 「二重心臓」
...霞のような煙が静々と死体の上を這いながら...
横光利一 「上海」
...葬列のように俯向いて静々と低い街の中を流れていった...
横光利一 「街の底」
...その首をふッつとねじ切って静々と駒を返して来るのだった...
吉川英治 「三国志」
...さながら戦陣そのままな猛気を飾って、静々、こなたへ相寄って来るのが見える...
吉川英治 「新・水滸伝」
...「近ごろはわけてもお健(すこ)やかでいらせられまする」と、使者が答えると、「いずれ沙汰いたせば、それまで待っておれと伝えよ」そう云うと、頼朝は、出迎えの神官を先に立てて、鶴ヶ岡の社前へ、静々、登って行った...
吉川英治 「源頼朝」
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