...靄(もや)のかかった中に...
泉鏡花 「婦系図」
...靄(もや)を分けて...
泉鏡花 「貝の穴に河童の居る事」
...朝靄のなかに、見上げるような高橋が、女の胸のようなゆるやかな曲線を描いて、眼界を区切っていた...
海野十三 「ヒルミ夫人の冷蔵鞄」
...木蔭には夕暮の靄が下りだしていた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...間もなく靄の中に消えてしまうのである...
鈴木三重吉 「千鳥」
...漢陽の家々の甍(いらか)が朝靄(あさもや)の底に静かに沈んで眠っているのが見えて来た...
太宰治 「竹青」
...夜(よる)の胞(え)をたゆらに運ぶおぼめきになほも市場の並蔵の壁にまつはる川の靄...
田山花袋 「日本橋附近」
...まだ朝げの靄(もや)の消えきらぬ岬(みさき)のはなは...
壺井栄 「二十四の瞳」
...わたしたち二人の頭が、突然もやもやした、半透明(はんとうめい)の匂(にお)やかな靄(もや)に包まれたかと思うと、その靄の中で、近々と柔(やわ)らかに彼女の眼が光って、ひらたい唇が熱っぽく息づき、歯がだんだん見えてきて、ほつれ毛が焼けつくようにわたしの頬(ほお)をくすぐった...
ツルゲーネフ 神西清訳 「はつ恋」
...夜に醸された靄はやさしい夢を孕んで...
豊島与志雄 「湖水と彼等」
...けれどもその靄(もや)の壁の中につき入ることは不可能ではなく...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...秋窓の下にすきとほつた靄が...
原民喜 「小さな庭」
...地表には靄(もや)が立てこめて...
本庄陸男 「石狩川」
...いいかい?」それからは黙ったまま父娘が夕靄のかかりはじめた街路を家の方へ向ってゆっくり歩いた...
「海流」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...靄(もや)の疲(つか)れ伝統の濃いこの国の女...
吉川英治 「かんかん虫は唄う」
...夜靄(よもや)の丑満(うしみつ)...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...乳色(ちちいろ)の靄(もや)となって...
蘭郁二郎 「鱗粉」
便利!手書き漢字入力検索