...往来には厨(くりや)の煙とも夕靄(ゆうもや)ともつかぬ薄い霧がただよって...
有島武郎 「或る女」
...やはりわれわれ関東人の力以外にはない……」座敷のうちにも夕靄がしのびこんで...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...薄紫のや靄のかかったのや...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...濛靄(もや)のかかったような銀子の目には...
徳田秋声 「縮図」
...遠く金色の靄(もや)の中に融(と)け込んでゆく大きな湖水のように思われた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...夕暮の薄靄が野の上を蔽うていた...
豊島与志雄 「土地」
...夕靄(ゆうもや)のおりる頃...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...生ある靄(もや)でできてるかのような姿をしている...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...どこから来たか一隊の人が闇と靄との中から打って出でました...
中里介山 「大菩薩峠」
...日はそのまた上の靄(もや)の奥から落ちて来る...
夏目漱石 「永日小品」
...唐の郭子儀(くわくしぎ)夫妻が一人づつ中心になりその老翁夫婦をとりかこんで、一方には男子ばかり、一幅には女子ばかり集り、うから、やから、まご、うまごが、それぞれの場處に讀書し、語り合ひ、遊戲し、團欒してゐる、和氣靄々、子孫長久繁榮のやはらぎとよろこびが、全幅にあふれてゐるので、嫁入り、婿取りにはよく借りられた...
長谷川時雨 「「郭子儀」異變」
...嘆き?靄(もや)にふえる廃墟まで美しく嘆く...
原民喜 「鎮魂歌」
...夕靄(ゆうもや)がおりるころになって...
久生十蘭 「キャラコさん」
...向う側はまだぼおっと濃い靄(もや)につつまれているっきりで...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...どっしりと聳えている飛騨の連峯を靄の中に眺めながら...
室生犀星 「性に眼覚める頃」
...やがて夜靄(よもや)のなかに...
吉川英治 「三国志」
...まだ川靄(かわもや)もほの白いうちに...
吉川英治 「新・水滸伝」
...麗かな日ざしに照らされた海面からは靄とも霞ともつかぬものがいちめんに片靡きに湧き立つて...
若山牧水 「樹木とその葉」
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