...銀灰色の靄(もや)と青い油のような川の水と...
芥川龍之介 「大川の水」
...靄(もや)の曇りで陰々としている...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...灰色の雨靄がかかつてしまつた...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...朝靄のなかに舟を流して投網をうつ姿が見られた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...地を這っている靄(もや)に膝のところまでも包まれて立っているのが見えた...
スティーブンソン Stevenson Robert Louis 佐々木直次郎訳 「宝島」
...まだみんな深い朝靄(あさもや)の中に眠って...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...こうなれば、なんでも叮嚀に言うに限ると思いましたから、「Thank you, Sir. Never mind, please. I am very glad to see you. How a lovely night!」とか、こんな靄の深い、厭(いや)な晩なのも忘れ、お世辞をいいました...
田中英光 「オリンポスの果実」
...日が陰って沼の面から薄糸のような靄(もや)が立ち始める...
寺田寅彦 「ある幻想曲の序」
...大きな月が靄(もや)の中に芝居の拵(こしら)え物のように昇りました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...春の朝靄(あさもや)の中へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...だがその暗示を満した靄の裡には...
ホーフマンスタール Hugo von Hofmannsthal 木下杢太郎訳 「チチアンの死」
...はかないもんだわねえ」陽(ひ)の傾いた空にはうすい靄(もや)があって...
山本周五郎 「青べか物語」
...その靄がさらに薄れてゆき...
山本周五郎 「橋の下」
...芝生は靄の中でいよいよ緑の色を増し始めた...
横光利一 「草の中」
...――風はなく――けさは白い川靄(かわもや)さえ...
吉川英治 「私本太平記」
...靄(あいがい)に質(ただ)すという風だった...
吉川英治 「田崎草雲とその子」
...我々と西方の泡立つ靄の間にかの悍ましい暗い石の塔が縺れ合い...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...そうしながら我々は一瞬薄れた靄に向けて二本の懐中電灯を目一杯焚いた...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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