...しかし明日はきつと霽れるだらう...
種田山頭火 「行乞記」
...・いつも十二時の時計の下で寝かされるいちにち雨ふり故郷のこと考へてゐた夕闇の猫がからだをすりよせる牛がなけば猫もなく遍路宿で・餓えて鳴きよる猫に与へるものがないどうやら霽れるらしい旅空・尿するそこのみそはぎ花ざかりけふまでまとまらなかつたものがこれだけまとまつた...
種田山頭火 「行乞記」
...世間師泣かせの雨がふる(福川)霽れるより船いつぱいの帆を張つたやつとお天気になり金魚...
種田山頭火 「行乞記」
...釣瓶縄をすげかへる霽れるより風が出て遠く号外の鈴の音・裏山へしづかな陽が落ちてゆく・落ちる陽をまへにして虹の一すぢ三月十六日ぬくすぎたが...
種田山頭火 「其中日記」
...どうやら梅雨空も霽れるらしく...
種田山頭火 「旅日記」
...しづか・山霧のふかくも苔の花ずんぶりぬれてならんで石仏たちは水が龍となる頂ちかくも・水音の千年万年ながるる・石だん一だん一だんの水音霽れるよりお山のてふてふ四月廿三日曇――晴...
種田山頭火 「旅日記」
...前章以来の読者の疑問の霧は幾分かは霽れる...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...けれどいつとなくその長雨が霽れると...
豊島与志雄 「秋の幻」
...雨に封じられていた心が雨と共に霽れると...
豊島与志雄 「秋の幻」
...沛然と降ってからりと霽れるのではなく...
豊島与志雄 「聖女人像」
...霽れるのを待つつもりだったんですが...
豊島与志雄 「変な男」
...霽れるかとみれば...
豊島与志雄 「録音集」
...春季雜咏杉の葉の垂葉のうれに莟つく春まだ寒み雪の散りくも椶櫚の葉に降りける雪は積みおける眞木のうへなる雪にしづれぬ木の葉掻く木の葉返しの來てあさる竹の林に梅散りしきぬ梅の木の古枝にとまる村雀羽掻きも掻かずふくだみて居り小垣外のわか木の栗の枝につく枯葉は落ちず梅の花散りぬ根をとると鴨兒芹(みつば)の古葉掻き堀れば柿の木に居てうぐひすの啼く蕷(いも)の蔓枯れてかゝれる杉垣に枝さし掩ひ梅の花白し鬼怒川の篠の刈跡に柔かき蓬はつむも笹葉掻きよせ淡雪のあまた降りしかば枇杷の葉の枯れてあり見ゆ木瓜のさく頃槲(かしは)木の枯葉ながらに立つ庭に繩もてゆひし木瓜あからみぬ枳殼の眞垣がもとの胡椒の木花ちりこぼれ春の雨ふる春風の杉村ゆすりさわたれば雫するごと杉の花落つ桑の木の藁まだ解かず田のくろにふとしくさける蠶豆の花鬼怒川の堤の水蝋樹(いぼた)もえいでゝ簇々さけり黄花の薺桑の木のうね間/\にさきつゞく薺に交る黄花の薺さながらに青皿なべし蕗の葉に李は散りぬ夜の雨ふり山椒の芽をたづね入る竹村にしたごもりさく木苺の花樫の木の木ぬれ淋しく散るなべに庭の辛夷も過ぎにけるかも木瓜の木のくれなゐうすく茂れゝば雨は日毎にふりつゞきけり我が庭の黐の落葉に散り交るくわりむの花に雨しげくなりぬ房州行五月廿二日家を立つ、宿雨全く霽れる、空爽かなるにニンニン蝉のやうなる聲頻りに林中に聞ゆ、其聲必ず松の木に在るをもて人は松に居る毛虫の鳴くなりといふうらゝかに楢の若葉もおひ交る松の林に松蝉の鳴く青芒しげれるうへに若葉洩る日のほがらかに松蝉の鳴く莢豆(さやまめ)の花さくみちの静けきに松蝉遠く松の木に鳴く松蝉の松の木ぬれにとよもして袷ぬぐべき日も近づきぬ二十三日、外房航路船中安房の國や長き外浦の山なみに黄ばめるものは麥にしあるらし二十四日、清澄の八瀬尾の谷に炭燒を見に行く清澄のやまぢをくれば羊齒交り胡蝶花(しやが)の花さく杉のしげふに樟の木の落葉を踏みてくだり行く谷にもしげく胡蝶花の花さく二十五日、清澄に來りてより毎夕必ず細く長く耳にしみて鳴く聲あり、人に聞くに蚯蚓なりといふ、世にいふ蚯蚓にもあらず、蚯蚓の鳴かぬは固よりなれど、唯之を蚯蚓の聲なりとして、打ち興ぜむに何の妨げかあらむと清澄の胡蝶花の花さく草村に夕さり毎に鳴く聲や何虎杖のおどろがしたに探れども聲鳴きやまず土ごもれかも山桑を求むる人の谷を出でかへる夕に鳴く蚯蚓かも胡蝶花の根に籠る蚯蚓よ夜も日もあらじけむもの夜ぞしき鳴く二十八日、清澄の谷に錦襖子(かじか)を採りてよめる歌八首のうち萱わくるみちはあれども淺川と水踏み行けばかじか鳴く聲黄皀莢(さるかけ)の花さく谷の淺川にかじかの聲は相喚びて鳴く鮠の子の走る瀬清み水そこにひそむかじかの明かに見ゆ我が手して獲つるかじかを珍らしみ包みて行くと蕗の葉をとるかじか鳴く谷の茂りにおもしろく黄色つらなる猿かけの花さるかけのむれさく花はかじか鳴くさやけき谷にふさはしき花二十九日蒼海原雲湧きのぼりひた迫めに清澄山に迫め來る見ゆ八瀬尾の谷に日ごと炭燒く人をおとづれてよみし歌のうち一首こと足りて住めばともしも作らねど山に薯蕷堀る谷に蕗採る三十日、清澄山を下りて小湊を志す、天津の町より道連になりたる若き女は漁夫の妻なりといふ、十里ばかり北の濱より濱荻といふ所にかしづきて既に四とせになれど子もなくて只管に夫を手依りしものゝ、夫は補充兵として横須賀に召集せられむとす、夫の歸らむまでは江戸の舊主のもとをたづねて身をつつしみ居らむと思へど二人が胸には餘りたれば今は故郷なる父母に咨らむとて行くなりといふ...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...しばらく続けていると漸次上空の霧まで霽れるわけである...
中谷宇吉郎 「霧を消す話」
...霧がからりと霽れるような方法を科学者に求めてはいけない...
中谷宇吉郎 「霧を消す話」
...霽れるとは思えない...
野上豊一郎 「吹雪のユンクフラウ」
...二三日つづいた雨が霽れると...
原民喜 「火の踵」
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