...山巓から襲ひ來る霧の中に立盡した時...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...やがて、朝霧の中から、ぽんぽんという発動機の音がして、その和船が帆村の方へやってきた...
海野十三 「爆薬の花籠」
...霧の中より露われ来る...
大町桂月 「層雲峡より大雪山へ」
...朝霧の中から漸く眼の覺めかゝつてきた水の上にどこからともなく薄い日影がさして湖の上が次第に白く輝いて來た...
近松秋江 「湖光島影」
...黒い海面のかなたの雲霧の中をながめていたら目がさめた...
寺田寅彦 「三斜晶系」
...考えは苦悩の霧の中にぼかされていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...その霧の中に凄い眼が...
直木三十五 「南国太平記」
...霧の中に追い求めているヨードル...
中井正一 「霧の中のヨードル」
...北方の冷たい霧の中で一体自分は何を思い悩んでいたやら...
中島敦 「環礁」
...北方の冷たい霧の中で一體自分は何を思ひ惱んでゐたやら...
中島敦 「環礁」
...もっとも霧の中の視程というものは...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...この光霧の中や、光霧の下を、更に流れているのは原元子(イオンス)の雲である、これが宛(あたか)も火の浪(なみ)の様に見える...
シモン・ニューコム 黒岩涙香訳 「暗黒星」
......
三好達治 「駱駝の瘤にまたがつて」
...霧の中を機関室へ降りて行った...
夢野久作 「難船小僧」
...鳥の群が一羽づつ陣列を造つて靜に霧の中を進行していく姿が墨畫のやうに眺められた...
横光利一 「榛名」
...濃霧の中の自分ひとりの世界を愉しむのだった...
横光利一 「旅愁」
...忽然と、朝霧の中に、一城の門が見えた...
吉川英治 「三国志」
...「合戦に参る気か」「お供、仰せつけ下さいまし」「よし、ついて来い」信長と彼の姿が、朝霧の中へ、二、三町も遠く淡(うす)れて行った頃、大手の橋を鳴り轟(とどろ)かせて、二十騎、三十騎、五十騎――そして四、五百名の兵がどっと、霧を黒くして追いかけて行った...
吉川英治 「新書太閤記」
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