...遠山(とおやま)の霧を破って...
泉鏡花 「歌行燈」
...『大祓祝詞』に、科戸の風の、朝の御霧、夕の御霧を、吹き撥う事の如くに、と云える修飾の文字は、盖し此神話より、借り来れるなり...
高木敏雄 「比較神話学」
...活溌(かっぱつ)にがたぴしといふ音すずし何事も人に従ひ老涼し八月九日 「玉藻五句集(第六十五回)」笑(え)みわれて泳ぎをる子は女の子つばくろの飛び迷ひ居(お)り霧の中八月十五日 句謡会...
高浜虚子 「六百句」
...部屋の中では濃い煙霧が渦巻き...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 大久保ゆう訳 「ボヘミアの醜聞」
...夏も北海特有の霧や...
中谷宇吉郎 「アラスカの氷河」
...その霧粒は大小に拘らず...
中谷宇吉郎 「樹氷の科学」
...アルプスの山々は薄い朝霧の中で明け始めた...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...香水の霧がさんさんと降り灑いだ...
牧野信一 「香水の虹」
...「先日霧の濃く降っておりました明け方に...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...その見え透いた「孤独」や「へんくつ」がやつとわたしには怠怠しい古い日記をひつぺかすやうに過去の雲や霧の中に見えてきて...
室生犀星 「故郷を辞す」
...姿は霧を隔てて見るようにぼやけて見える...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...見えない彼方の黄泉(よみ)から吹き流れて来る霧の...
横光利一 「旅愁」
...雨の日とて、霧の日とて、じっと一万三千余人の心が、ひとつ塊(かたま)りになったまま、蕭条(しょうじょう)たる中に、煙っていた...
吉川英治 「上杉謙信」
...霧のような蒸雲(じょううん)のうえに...
吉川英治 「三国志」
...そういう努力はすぐ霧消して...
吉川英治 「新書太閤記」
...かまわんかまわん、旅へ急げ」――あと振り返り振り返り、朝霧の中を、渭州(いしゅう)の場末から立ち退(の)いていく父娘(おやこ)の姿へ、魯達(ろたつ)もちょっと大きな手を振って見せた...
吉川英治 「新・水滸伝」
...(三玄院には謀叛(むほん)の霧が立っている)と噂されたほど...
吉川英治 「宮本武蔵」
...それは迫りくる白霧の背後から突然鳴り出した音が伝えてきたもの――広い音調に渉る潜伏性の音楽的な笛音だ...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
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