...朝ごとに河面は霧(きり)が濃(こ)くなってうす寒くさえ思われる時節となりましたので...
有島武郎 「燕と王子」
...夜霧でびっしょり濡れた朝の街路の上を拡声器から出るラジオの音がガンガンと響いてゆく...
海野十三 「空襲警報」
...ぱらぱら小さい赤い吹出物が霧を噴きかけられたように一面に散点していて...
太宰治 「皮膚と心」
...湿つぽい朝風が薄い霧を含んでうそ寒く...
寺田寅彦 「雨の上高地」
...私は先刻から薄い霧のように私の頭に纏り...
外村繁 「澪標」
...全く五里霧中に彷徨(ほうこう)しているのに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...今日もまた終日霧雨が降り続けた...
北條民雄 「続重病室日誌」
...漏斗の底の所には霧が立つてゐて...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...あんまり雲霧(くも)が多く...
ナサニエル・ホーソン Nathaniel Hawthorne 三宅幾三郎訳 「ワンダ・ブック――少年・少女のために――」
...……翌日は、霧がふかく、終日、近くの山々すら見えなかった...
堀辰雄 「菜穂子」
...外面は霧厚くこめて上野の山も夢の如く...
正岡子規 「明治卅三年十月十五日記事」
...うっすり霧がおりていて...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...今朝(けさ)は霧の濃い中をやって参ったのでございます...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...昨夜の埃臭い霧が咽喉(のど)を冒したのである...
山本周五郎 「青べか日記」
...霧は茫々と際限なく続いた雪原と同じだ...
横光利一 「欧洲紀行」
...弱い朝日の光が霧を透すので青青(あをあを)とした水が...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...霧のようにわしの脳裡から薄れてしまう……」「…………」お通はなにかいおうとした...
吉川英治 「宮本武蔵」
...窓もあけられぬ位ゐ霧がこめて...
若山牧水 「比叡山」
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