...挨拶よりも先に『何といふ霧でしたらう...
石川啄木 「道」
...之れ実に、海島国に於ける、暴風雨襲来の状を、記するものにして、素盞嗚尊の語に、「是を以て、雲霧を跋み渉り、遠く自ら参で来つ」とあるは、此説明と一致するに似たり...
高木敏雄 「比較神話学」
...谷々をたちこめるイギリス名物の霧...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...ミルク色の海と湛えた霧のなかに...
豊島与志雄 「エスキス」
...大体の事柄だって霧を通して眺めるようにぼやけている...
豊島与志雄 「黒点」
...その頃霧社には前記の三人ばかりでなく...
中村地平 「霧の蕃社」
...消霧車は普通では貨車輸送の出来ない厖大(ぼうだい)なもので...
中谷宇吉郎 「硝子を破る者」
...二階から見降してゐると、黄昏の雨霧に、廣々とした青い麥畠が鮮やかに展けてゐた...
林芙美子 「あひびき」
...山々の頂には霧がまいてゐた...
林芙美子 「屋久島紀行」
...僕は霧の彼方の空にお前を見たとおもつた...
原民喜 「鎮魂歌」
...夏は霧がかかり、秋は十月から雪が降り、沼の泥深いところに鹿や熊がいる...
久生十蘭 「奥の海」
...つぎつぎに霧の中から現れて...
久生十蘭 「金狼」
...朝のうちはふかい霧がかかっていたが...
堀辰雄 「楡の家」
...ありがとうございました」霧雨が降り始め...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...笛は柏木(かしわぎ)の大納言が夢に出て伝える人を夕霧へ暗示した形見のもので...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...海関の尖塔が夜霧の中で煙り始めた...
横光利一 「上海」
...数日の人気もない夜霧朝霧に...
吉川英治 「上杉謙信」
...霧の深い町の辻へスタスタと大股(おおまた)に歩きだした...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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