...折から空に懸(かか)っている霞の中へ飛んで行った...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...それがまた末はほのぼのと霞をかけた二条の大路(おおじ)のはてのはてまで...
芥川龍之介 「竜」
...姿の美しい高見山には霞がかゝり...
石川欣一 「山を思う」
...おぼろ/\と霞むまで...
泉鏡花 「紫陽花」
...一処(ひとところ)浦の波が月に霞んだようであった...
泉鏡花 「浮舟」
...春日(はるひ)霞みて...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...〈春山霞壮夫〉と題した作は古事記か何かにある神話で...
上村松園 「土田さんの芸術」
...且つ雲霞の如き衆多の馬鹿者のみの名は...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...佐保山姫は此霞の神格化なり...
高木敏雄 「比較神話学」
...総べての物が霞(かす)んで行くような私の眼には...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...うすく霞んだ空の一隅を...
豊島与志雄 「女と帽子」
...晩霞(ばんか)の濃い紫と...
永井荷風 「日和下駄」
...霞の中に立つ浅間の煙さえ...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...「野を歩み、霞める空を仰ぎ、草の香を聞き、緩かなる流水の歌を聴き、撫づるが如き風に向ふが中に、忽ち堪へ難きなつかしき感の起り来るあり...
中谷宇吉郎 「詩人への註文」
...私の記憶に霞(かすみ)をかけるせいだろう...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...おのれを持することの高い、公子のような悧口な女が、どういうつもりで泰文のような下劣な男のところへ後添いに来る気になったのかと、いろいろに取沙汰されたものだが、国吉や泰博のはかない終りや、常ならぬ虐待を受けている子供たちをあわれと思い、朝霞にかわって、泰文のでたらめな暴虐から子供たちを護ってやろうと思ったのではなかろうか...
久生十蘭 「無月物語」
......
正岡子規 「俳人蕪村」
...向うの霞沢岳と次第に奥狭く相迫った中間の空にあらわれて見えるのである...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索