...それは霙の降るいやに寒い日で...
犬田卯 「瘤」
...何といふことなしに霙まじりの寒い戸外(そと)の天気が想ひ出される...
薄田泣菫 「独楽園」
...売らなきやならない花をならべる・霙ふるポストへ投げこんだ無心状・ぬかるみをきてぬかるみをかへる不幸はたしかに人を反省せしめる...
種田山頭火 「行乞記」
...夜はふくらうの月が出た(追加一句)・寝ざめ雪ふるさびしがるではないが・雪が霙となりおもひうかべてゐる顔・ひとりへひとりがきていつしよにぬくうねる(旧友来庵)・梅はさかりの雪となつただん/\ばたけ雪を見てゐるさびしい微笑・雪のしたゝり誰もこないランプを消して恋のふくらうの逢へら(マヽ)しい声も更けた・枯れた葉の枯れぬ葉の...
種田山頭火 「其中日記」
...霙の神に頼んで霙を降らせてもらって助かった...
知里真志保 「アイヌ宗教成立の史的背景」
...霙(みぞれ)は雨と雪の混じたもので...
寺田寅彦 「凍雨と雨氷」
...霙(みぞれ)がびしょびしょ降って寒い狐(きつね)の啼き声の聞える晩に...
徳田秋声 「足迹」
...町には毎日々々じめじめした霙(みぞれ)が降ったり...
徳田秋声 「あらくれ」
...いまに霙(みぞれ)でも降ってきそうな空模様であった...
徳永直 「冬枯れ」
...三十九夕方少し霙(みぞれ)が降ってすぐに晴れた寒い晩だった...
豊島与志雄 「反抗」
...浜の小砂利の数ほど打てどそもじ見たさに竹で目を衝いたびんびん棉打て畑の茨にとろとろ日が照る山越唄おらも十六七八は同じ問屋の駅路になんぼ恥かしのう殿ご花のやうだと褒られた殿の姿は駅路のそんじさごろも花だわいちらりちらりもめづらしき笠に霙(みぞれ)が降つて来た山は時雨(しぐれ)だのう殿ご萱(かや)の枯穂が動くわい今朝(けさ)も田甫(たんぼ)の田の中に鴨が三疋鳴いてゐた...
野口雨情 「野口雨情民謡叢書 第一篇」
...2このあいだ高見順さんの「霙降る背景」と云う小説を読んでいたら...
林芙美子 「朝御飯」
...暁外は霙でも降つてゐるといふのだらうか...
原民喜 「ある時刻」
...お前はタキシードは間に合ふのか?」霙まぢりの雨の中で練習を済ませたラガー達は...
牧野信一 「サクラの花びら」
......
森川義信 「霙の中」
...或××雑誌に久々ぶりで小村静雄(しずお)の創作「霙ふる夜」が掲載された...
山下利三郎 「流転」
...すんなりとした裸体で芽の噴きかかった栗の林の中を疾走してゆくその優美さ――矢代は霙に降り込められつつも立ち去ることが出来なかったその日の夕暮の感動を今も忘れない...
横光利一 「旅愁」
...もう金峰の上には霙(みぞれ)が来るッていうぜ...
吉川英治 「江戸三国志」
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