...人もし宇宙の霊妙な力を否定するならば...
石原莞爾 「最終戦争論」
...これが「ナオミの顔」と云う一つの霊妙な物質なのか...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...さて全体の効果をよく見渡してからそろそろ仕上げにかかろうというときの一服もちょっと説明の六(むつ)かしい霊妙な味のあるものであった...
寺田寅彦 「喫煙四十年」
...しかし再び興奮の発作が来ると彼の頭は霊妙な光で満ち渡ると同時に...
寺田寅彦 「球根」
...話は先刻聴いた霊妙な作品のことばかりだった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...クリストフはパリー婦人の霊妙な優美さを思い起こしては...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...『凧刻んで夜の壁に描き得た我が霊妙なる壁画を瞬く間に擾して...
中島敦 「鏡花氏の文章」
...彼の霊妙な描写の筆に値する程のものでなければ我慢がならなかったのである...
中島敦 「光と風と夢」
...性となった・あの文字を連ねることの霊妙な欣ばしさ...
中島敦 「光と風と夢」
...はるかに複雑で霊妙な生物だけに...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...消える印象の名残(なごり)――すべて人間の神秘を叙述すべき表現を数え尽してようやく髣髴(ほうふつ)すべき霊妙な境界(きょうがい)を通過したとは無論考えなかった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...一年ほど前にも「霊妙なる心力」と云う標題に引かされてフランマリオンという人の書籍を...
夏目漱石 「思い出す事など」
...しかしいざとなるとこの平凡が急に霊妙なる神秘的作用のためにむくむくと持ち上がって奇なもの...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...かくのごとく不可思議、不可測(ふかそく)の心を有している雪江さんも、細君と話をしているうちはさほどとも思わなかったが、主人が帰ってきて油壺を抛(ほう)り出すやいなや、たちまち死竜(しりゅう)に蒸汽喞筒(じょうきポンプ)を注ぎかけたるごとく、勃然(ぼつぜん)としてその深奥(しんおう)にして窺知(きち)すべからざる、巧妙なる、美妙なる、奇妙なる、霊妙なる、麗質を、惜気もなく発揚し了(おわ)った...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...その白波の高さを指で弾くほどと規定して事象に具体性を与へ得るのは全く霊妙な直覚力によるもので...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...その霊妙な審美眼を放つて瞬間的に之を捕へ...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...樹木の配置等に何となく霊妙なものがあるかに感ぜられる...
三上義夫 「芸術と数学及び科学」
...貴様の霊妙な力が醒めよう...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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