...この霊妙な山なみのふもとの村から...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「リップ・ヴァン・ウィンクル」
...宇宙の尤(もつと)も霊妙なる産物たる清浄無垢(むく)の美花あり...
石川啄木 「閑天地」
...人もし宇宙の霊妙な力を否定するならば...
石原莞爾 「最終戦争論」
...ここに霊妙なる精神活動を現出するが...
大隈重信 「現代の婦人に告ぐ」
...霊妙なる人間の頭というものは...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...人類だけを特別霊妙なものとする妄想は打ち破られて...
丘浅次郎 「人類の誇大狂」
...それはわたしが今までに見たことがないほど霊妙な飛びかたであった...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...これが「ナオミの顔」と云う一つの霊妙な物質なのか...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...しかし、その下層民の滓(かす)の中にも、大きな頭をし、ガラスのような眼をし、多くは動物的な顔をし、肥満してずんぐりしてるそれらの者どもの中にも、最も高尚な民族から堕落してきたそれらの末裔(まつえい)の中にも、その臭い汚泥(おでい)の中にさえ、沼沢の上に踊る鬼火のように輝く不思議な燐光(りんこう)が、霊妙な眼つき、燦然(さんぜん)たる知力、水底の泥土(でいど)から発散する微細な電気が、見て取られるのであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...モーツァルトの緩徐曲の霊妙な作意の下から...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...眼を閉じて霊妙な曲をひきだした...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...自然に於て霊妙なる我を認得」する...
中谷宇吉郎 「古代東洋への郷愁」
...消える印象の名残(なごり)――すべて人間の神秘を叙述すべき表現を数え尽してようやく髣髴(ほうふつ)すべき霊妙な境界(きょうがい)を通過したとは無論考えなかった...
夏目漱石 「思い出す事など」
...しかしいざとなるとこの平凡が急に霊妙なる神秘的作用のためにむくむくと持ち上がって奇なもの...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...かくのごとく不可思議、不可測(ふかそく)の心を有している雪江さんも、細君と話をしているうちはさほどとも思わなかったが、主人が帰ってきて油壺を抛(ほう)り出すやいなや、たちまち死竜(しりゅう)に蒸汽喞筒(じょうきポンプ)を注ぎかけたるごとく、勃然(ぼつぜん)としてその深奥(しんおう)にして窺知(きち)すべからざる、巧妙なる、美妙なる、奇妙なる、霊妙なる、麗質を、惜気もなく発揚し了(おわ)った...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...秩序の目標は青(ブルウ)と黒(ブラック)仮説の中でひっそりと鼠を食うその霊妙なる味と芳香ああロマンスの仮説誰にも黙殺されて自分の生血をすする少しずつ少しずつの塩辛い血...
林芙美子 「新版 放浪記」
...その白波の高さを指で弾くほどと規定して事象に具体性を与へ得るのは全く霊妙な直覚力によるもので...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...貴様の霊妙な力が醒めよう...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
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