...ひどく急な雪の壁で三方をめぐらされている...
板倉勝宣 「春の槍から帰って」
...また雪子姉さんのことばかり考えていたので...
海野十三 「四次元漂流」
...まつ白に雪をかぶつた屋根や...
アントン・チエーホフ Anton Chehov 鈴木三重吉訳 「てがみ」
...雪がうすく積つてゐた...
太宰治 「道化の華」
...雪子は、悦子が興奮して容易に寝ようとしないのを、明日の朝が早いから寝なさい寝なさいと、無理に二階へ上らせてしまってから、徐(おもむ)ろに自分の衣裳鞄(いしょうかばん)を詰め、それが済むと、貞之助がまだ書斎の方で調べ物をしているので、姉と妹を掴まえて十二時過ぎまで応接間で話していたが、やがて妙子が、「もう寝よう、雪姉(きあん)ちゃん」と、無作法に大きな欠(あく)びをした...
谷崎潤一郎 「細雪」
...(明治四十四年 十二月十日)雪暮の廿八日は...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...井阪梅雪氏来訪...
断膓亭日記巻之四大正九年歳次庚申 「断腸亭日乗」
...その山肌と雪とで作る斑紋が...
中村清太郎 「残雪の幻像」
...岩藤雪夫(いわとうゆきお)氏の闘いを襲(つ)ぐもの...
林芙美子 「文学的自叙伝」
...あれほど旅の間じゅう明の切望していた雪が...
堀辰雄 「菜穂子」
...八雪之丞が、通りの向うの闇を見つめたまま、前に据えられた辻駕籠に、乗ろうとしないので、駕籠舁(かごかき)が、「さあ、どうぞお召しなすって――」雪之丞は相変らず、瞳を前方に注いだまま、心がここにない風で、「たしか、闇太郎、御用と言ったように聞えましたが――」「へえ、何だか、そう申したようでございましたね」と、後棒が答えて、蔑(さげす)むような口調になって、「なあに、あなた、この辺の見廻り役人や、目明し衆が、十人十五人で追っかけたって、闇太郎とも云われる人を、どうして、捕(と)っつかめえることが出来ますものか――」その調子に、何となく役人に追われる者の方に、却(かえ)って同情が濺(そそ)がれているのを感じながら、心を残して雪之丞は、しとやかに駕籠に身を入れる...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...雪之丞は、衰えゆく女の手を握り締めてやっていた――細ッそりした、やさしい手先が、だんだんに、冷えてゆくようであった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...支那で濃紫色を雪青と名づく(一九〇六年二月二十二日の『ネーチュール』三六〇頁)...
南方熊楠 「十二支考」
...しかしいまはなにもかも雪の下になってしまった...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...雪の塔の絶頂に登りました...
夢野久作 「雪の塔」
...波の打ち合うような速度で雪崩れのぼった...
横光利一 「旅愁」
...どんと一同のなかへ梅雪(ばいせつ)をほうりやって...
吉川英治 「神州天馬侠」
...肌(はだへ)は白雪(はくせつ)に似たり...
吉川英治 「新書太閤記」
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