...男がある機会には手傷も負わないで自分から離れて行く……そういういまいましい予想で取り乱されていた...
有島武郎 「或る女」
...どんな人でも貞世の身ぢかから離れて行くのをつらく思った...
有島武郎 「或る女」
...彼の生活が次第次第に実世間と離れて行くのを自分でも感じていた...
寺田寅彦 「球根」
...極(きま)り羞(はづ)かしさうに離れて行くのも好い気持ではなかつたが...
徳田秋声 「のらもの」
...そんなことをすると政治的儀礼や教育的大義名分とあまりにもかけ離れて行くからである...
戸坂潤 「一九三七年を送る日本」
...教学からは増々離れて行く方向にあるか...
戸坂潤 「日本文化の特殊性」
...離れて行く駕の後方を睨んでいたが...
直木三十五 「南国太平記」
...車の幌を挂けて出たので村の人々には私の村を離れて行くおいよさんの姿は見られなかつた...
長塚節 「隣室の客」
...細君の父と段々離れて行くのもまたこの現在の御蔭に違なかった...
夏目漱石 「道草」
...御前から離れて行く時期が来るに極(きま)っている...
夏目漱石 「道草」
...自分の心の次第に離れて行くのを...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...タイタニックは帝王のように堂々と桟橋を離れて行く...
牧逸馬 「運命のSOS」
...心を盡して情を求めて來た妻のおつゆが自分を遠く離れて行くのも目の前に迫つてゐるやうで...
正宗白鳥 「假面」
...女であれば先だって死んだ場合に魂は必ず離れて行くまいと好色な心に中将を思って...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...いよいよ父宮の遺愛の宇治の山荘を離れて行くことになるのかと中の君は心細くて歎かればかりする...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...地上の物象から遠く離れて行くやうに思はれた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...時々ぷつんと糸の切れたようにどこかへ離れて行く...
吉川英治 「親鸞」
...どやどやと人馬の列は草庵を離れて行く...
吉川英治 「親鸞」
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