...父親は少し離れて佇みながら此愛すべき二人を眺めて微笑を洩してゐる...
テオフィル・ゴーチエ Theophile Gautier 芥川龍之介訳 「クラリモンド」
...そのしたたりが腕から離れて宙に飛ぶごとに...
有島武郎 「或る女」
...鞄にぶら下った秋草の身体は見る見るうちに船を離れた...
海野十三 「鞄らしくない鞄」
...定期船と云っても、現在では三千噸(トン)級の立派な船が通(かよ)っているが、その時分のは、二三百噸のボロ汽船で旅客も少く、鳥羽を離れると、もう何だか異郷の感じで、非常に心細くなったものである...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...魂は肉体を離れて...
薄田泣菫 「雨の日に香を燻く」
...これも国を離れて以来再びめぐり逢わないものの一つである...
寺田寅彦 「郷土的味覚」
...起きるともなく床を離れて運動場へおりて月見草の咲いているあたりをなんべんとなくあちこちと歩いた...
寺田寅彦 「花物語」
...生れし里は波のいづこなれし都は雲の幾重離れ小じまの雨の夜に過ぎにし榮は火のごとくいまはのあとは灰のごと其喜も悲もむくろと共に葬むりて眠につけや夢もなく...
土井晩翠 「天地有情」
...若林の傍を離れて居間へ行くと...
徳田秋声 「縮図」
...尺八は少し離れたところの机の上にあって...
中里介山 「大菩薩峠」
...「どなた」お雪ちゃんはまだ蒲団(ふとん)を離れないで返事をします...
中里介山 「大菩薩峠」
...一方、少し離れて、麦の袋や苧や麻布や、その他いろんな自家製(うちでき)の品を満載した荷車を、へとへとに疲れた去勢牛に曳かせながら、その後ろから小ざつぱりした麻布(あさ)の襯衣(ルバーシュカ)に、汚れた麻布(あさ)の*寛袴(シャロワールイ)を穿いた持主がのつそりのつそり歩いてゐた...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...たとへ遠くに離れてゐても...
牧野信一 「蛍」
...自分と少し離れたところに...
正岡容 「寄席」
...しかも外国の関係から離れ...
三上義夫 「文化史上より見たる日本の数学」
...かれはベンチを離れると群衆の方へむかって歩き出した...
室生犀星 「幻影の都市」
...山小屋は宿からあまり離れていなかった...
横光利一 「旅愁」
...師の房の参られたお館に近くはないか」「離れてはいようが...
吉川英治 「親鸞」
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