...雑然と狭い渓谷の急な斜面に充(み)たされている...
芥川龍之介 「槍が岳に登った記」
...もうたくさんの帳簿や書類が雑然と開きならべられてあった...
有島武郎 「親子」
...最初からしていくたの矛盾(むじゅん)が雑然として混在していたにかかわらず...
石川啄木 「時代閉塞の現状」
...プーンと黴(かび)の生えた匂いのする古い図書が何万冊となく雑然と積みかさねられてあったのである...
海野十三 「蠅男」
...楽屋着などが雑然とぬぎすててあるなかに...
高見順 「如何なる星の下に」
...フラスコなぞが雑然と載っていた...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...下にも雑然と書物を置いてある...
土田杏村 「私の書斎」
...その上に書物や新聞の雑然と置いてあるのがいかにもうるさくて絵全体を俗悪にしてしまうから...
寺田寅彦 「自画像」
...西欧の寺院の鐘声というものに関するあらゆる連想が雑然と頭の中に群がって来た...
寺田寅彦 「旅日記から(明治四十二年)」
...いろいろな部門のものが雑然と入り乱れている...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...しかしすべてが雑然と交り合っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...和洋酒混合の雑然とした酔い方をして...
豊島与志雄 「都会の幽気」
...そこにまた他の巨大なるものが雑然と動くのを見た...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...あの雑然とした絵が...
久生十蘭 「キャラコさん」
...埃をかぶった古物が雑然とその片鱗を浮きあがらせている...
久生十蘭 「金狼」
...その雑然とした中に...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...山賊やが雑然とあぐらをかいて鎮座した...
横光利一 「夜の靴」
...春曙抄本のごとく雑然としたものでない」という点を問題にしてみたいと思う(1)...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
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