...一様に鼠(ねずみ)の棒縞の着物を着て雑然と群羊のごとく動いていた...
芥川龍之介 「路上」
...最初からしていくたの矛盾(むじゅん)が雑然として混在していたにかかわらず...
石川啄木 「時代閉塞の現状」
...答えがあっちこっちから雑然として起こった...
田山花袋 「田舎教師」
...その上に書物や新聞の雑然と置いてあるのがいかにもうるさくて絵全体を俗悪にしてしまうから...
寺田寅彦 「自画像」
...いろいろな部門のものが雑然と入り乱れている...
寺田寅彦 「丸善と三越」
...ヒアガルの絵のように一幅の画面に一見ほとんど雑然といろいろなものを気違いの夢の中の群像とでもいったように並べたのがある...
寺田寅彦 「連句雑俎」
...あちらこちらに雑然とした漠然(ばくぜん)たる形が認められた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...紛然雑然として帰一するということを知らない...
中里介山 「大菩薩峠」
...一ヶ所甚だ雑然とした陋穢(ろうわい)な一劃が目に付いた...
中島敦 「盈虚」
...入れ代り立ち替り雑然として吾心を奪いにくる煩(わず)らわしさに悩んだのである...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...埃をかぶった古物が雑然とその片鱗を浮きあがらせている...
久生十蘭 「金狼」
...雑然とした書類の束...
火野葦平 「花と龍」
...はしがき私が「新潮」三月号に発表した「政治的価値と芸術的価値」は、私の頭に疑問として残されてゐた一つの問題を、雑然と、無秩序に、しかも甚だ例証的に、従つて、非常に単純化された姿に於いて、そして何よりも率直に、表白して、私自身その問題に対する一つのサジエツシヨンを試みつゝ、大方の示教を乞ふために書かれたものであつた...
平林初之輔 「諸家の芸術価値理論の批判」
...雑然とかつ逆説的に湧き上ったのである...
エドガア・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「群集の人」
...テーブルの下で蠢く下駄や靴の音が雑然として鳴り初めたので...
牧野信一 「妄想患者」
...その雑然とした中に...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...雑然と掛けならべてありました...
吉川英治 「江戸三国志」
...車駕(しゃが)担輿(たんよ)など雑然と続いて行く始末なので道はようやく一日に十里(支那里)も進めば関の山という状態であった...
吉川英治 「三国志」
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