...雑然とあたりを塞いだ中に...
芥川龍之介 「上海游記」
...プーンと黴(かび)の生えた匂いのする古い図書が何万冊となく雑然と積みかさねられてあったのである...
海野十三 「蠅男」
...世界に於ける一切の文明の要素が雑然として一所に集合したからして...
大隈重信 「日本の文明」
...雑然として置いてある...
大下宇陀児 「擬似新年」
...それまではただ雑然とここに置き放しにしていたほうがよさそうに思われたので...
太宰治 「斜陽」
...その、煤粉(ばいふん)がつもったように黒い木々が、ときどきレイルを軋(きし)ませて通り過ぎる電車のひびきに葉をそよがせて立っているまん中、物々しい甲冑(かっちゅう)を着たクリスチャン五世の騎馬像――一ばんには単に馬(ヘステン)と呼ばれている――が滑稽なほどの武威をもってこの1928の向側のビルディングの窓を白眼(にら)んで、まわりに雑然と、何らの組織も配置もなく切花の屋台店が出ている...
谷譲次 「踊る地平線」
...実にさまざまな物が雑然とぶちこまれている...
豊島与志雄 「怪異に嫌わる」
...しかしすべてが雑然と交り合っていた...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...そしてただ雑然としていてまとまりがなかった...
豊島与志雄 「程よい人」
...卓子の上には次の鉱物の時間に使う標本や道具類が雑然と並んでいる...
中島敦 「狼疾記」
...花を包んで雑然と簇(むら)がるばかりである...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...そこには雑然と荷物が取りちらかされてゐて...
原民喜 「氷花」
...左上の隅に雑然と描かれた風景の下に...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トリスタン」
...以上にのべたような意見のすべてを雑然とよせ集めて...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...雑然として定説がないのである...
矢部貞治 「政治学入門」
...雑然と並んでいる青白いアーク燈の瞬きが...
夢野久作 「オンチ」
...雑然と掛けならべてありました...
吉川英治 「江戸三国志」
...近づくほどその雑然と芥(あくた)のように積んだ財宝の豪奢(ごうしゃ)さに驚かされる...
吉川英治 「松のや露八」
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