...民子も遂には袖で笑いを隠して逃げてしまうという風で...
伊藤左千夫 「野菊の墓」
...早くから官途を退隠して釣道楽に韜晦していた...
内田魯庵 「二葉亭四迷の一生」
...結局あなたに身を隠して頂く以外に...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
......
高見順 「死の淵より」
...れいの女の来客たちには隠して...
太宰治 「人間失格」
...昔は暗さがそれを適当に蔽い隠してくれたのではないか...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...書棚の蔭に隠してある日記帳を取り出して...
谷崎潤一郎 「鍵」
...その二階建ての洋館を半ば蔽(おお)い隠していた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...穴倉(あなぐら)に隠して置く金の塊(かたまり)は莫大(ばくだい)なものだという噂(うわさ)」神尾主膳は結局...
中里介山 「大菩薩峠」
...そして子供から匕首を買ったことを隠して置きたさに...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...秘密の室(へや)に隠しているのではないでしょうか?そうするうちに...
野村胡堂 「向日葵の眼」
...あいつを隠しておくことにしよう』というふうにね」このとき...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「モルグ街の殺人事件」
...女王への愛情を隠しておられる...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...小さい美しい白扇で前を隠して...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...はづかしいもんだから隠してら...
三好十郎 「疵だらけのお秋(四幕)」
...本踊子の一様に白い手拭で顔を隠しているのが...
柳田国男 「雪国の春」
...「あたしあなたには悪いことをしたわ」とおみやは続けた、「いまさらお詫(わ)びを云っても取返しはつかないし、口でお詫びをしようとも思わないわ、それよりあたしお願いがあるの」「よしてくれ、それだけはまっぴらだ」「お願いよ、新さん」「云うことはわかってるんだ」「ひと言だけ聞いてちょうだい」「いやだ、それだけはよしてくれ」と新八は首を振った、「あんたは自分の好きなようにできる、この家と縁を切り、柿崎さんと縁を切り私と縁を切って、新らしくやり直すこともできる、だが私は捕われたけものだ」「だからそのことを」「いや、たくさんだ」と新八は乱暴に遮った、「私は脱走者だ、外へ出ればいつどこで伊達家の者に捉(つか)まるかもわからない、捉まれば殺されるにきまっているし、この家にいたって安全じゃない、柿崎さんは私の保護者のような顔をしているが、心でなにを企んでいるかはわかってる、私は知ってるんだ」「そんな声を出さないで」とおみやが制止した、「もし聞かれでもしたらどうするの」だが新八は首を振り、おみやの言葉を遮って云った、「もうおれも子供じゃあない、いつまでもごまかすことはできない、おれは知ってるし、おまえだって知ってる筈だ」「新さん、お願いよ」「柿崎さんはおれを売るつもりだ、いや、もう売ってるんだ」と新八は云った、「この道場を造った金は、一ノ関から出たものだし、毎月、多額な手当を一ノ関から引出している、隠してもだめだ、このおれを質にしてそういう金を取っているし、いざとなれば、おれの躯を一ノ関の手へ渡すつもりなんだ」そうだろう、と新八は声をふるわせた...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...そのまま御行(おぎょう)の松の先から横丁へ影を隠して...
吉川英治 「江戸三国志」
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