...しかも實物とわづかに濡れ紙一重を隔てたばかりの親しみの深い印象を留めて居る...
會津八一 「拓本の話」
...然しそれは洋を隔てた遙か遠くの歐米の事で有つた...
石川啄木 「所謂今度の事」
...林を隔てて、見張台と反対の斜面に一寸した窪みがあって、兵隊はそこに木箱を下し、腰かけて汗をふいていた...
梅崎春生 「桜島」
...一間隔てた老夫婦の部屋を覗いて見たが...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...大西洋を隔てて亜米利加(アメリカ)合衆国...
大隈重信 「平和事業の将来」
...枕上(まくらがみ)のしきを隔てて座を与えられた...
寺田寅彦 「根岸庵を訪う記」
...程なく彼はリキエーの故郷を遠く隔てたるこゝ豐沃のトロイアに...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...大海を隔てたようだ...
徳冨蘆花 「漁師の娘」
...現在この世から俺を隔てゝゐる城壁が固くなるやうだ...
ボードレール 富永太郎訳 「午前一時に」
...夜もすがら壁を隔てて物語し...
中里介山 「大菩薩峠」
...隔ても見境もなくなりそうな仲でもあったのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...その距離を隔てた両端の事物に少しの変化も及ぼさずに...
デイビッド・ヒューム David Hume 井上基志訳 「人間本性論(人性論)」
...折しも紙襖(ふすま)一ツ隔ててお鍋の声として...
二葉亭四迷 「浮雲」
...堀はそのとき既に垣一重隔て立っていた...
室生犀星 「蛾」
...堂上より望ときは駅を隔て黄葉山園中に来がごとし...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...叔父(おじ)甥はここに十数年を隔てて相見たのだそうである...
森鴎外 「渋江抽斎」
...――それではゆうべ障子を隔てて相対した...
山本周五郎 「新潮記」
...稻田を隔てゝ小高い丘の上には麥が黄になりかゝつて一面に連つてゐる...
吉江喬松 「山岳美觀」
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