...険のある眼を一汐(ひとしほ)険しくして譴(たしな)める様に言つた...
石川啄木 「鳥影」
...少時いささか険のあるやりとりがあって...
梅崎春生 「狂い凧」
...すこし眼に険のある美人でしたが...
田中英光 「オリンポスの果実」
...それで明治以前にはそういう危険のあるような場所には自然に人間の集落が希薄になっていたのではないかと想像される...
寺田寅彦 「天災と国防」
...皮膚の蒼黄色い何処となく険のあるいやな顔だと始め見た時から思った...
寺田寅彦 「やもり物語」
...再発の危険のあることは十分に知っている...
外村繁 「落日の光景」
...庄吉は唇に杯を持ってゆくその女の少し下品な険のある横顔を眺めていた...
豊島与志雄 「少年の死」
...「まいりました」竜太郎が、おそるおそる眼をひらく、卓の向う側に、どこか険のある、美しい顔だちの娘が立っていた...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...便乗の手つづき取っておきましたが――」「はい」幾らかひきつった険のある眼で...
本庄陸男 「石狩川」
...隠居は、それからそれへと、闇太郎から、これまでの、冒険的な生活の、告白を聴きたがって、話の緒口(いとぐち)を、手繰(たぐ)り続けていたが、ふと、平馬の存在を思い出したように、「おお、そう申せば、平馬、その方、一松斎に別れて、自流を立てるという、決心をしたそうだが、まずさし当って、如何(いかが)いたすつもりだ?」平馬は、隠居の赧ら顔が、自分の方へ向けられたので、漸(ようや)くほっとして、険のある目元に、急に、諛(へ)つらいに似た、微笑さえ浮かべて、「実は、それにつき、日頃の御恩顧(ごおんこ)に甘えて、真直ぐに、御当家に拝趨(はいすう)いたした次第でござりますが――一松斎、年来の情誼(じょうぎ)を忘れ、某(それがし)を破門同様に扱いました限りは、拙者も意気地として、どうあっても、彼の一統を見返さねばなりませぬ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...その危険のある環境についての...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...黙っているとひどくこわい険のある顔にみえる...
矢田津世子 「鴻ノ巣女房」
...中には試験であり失敗の危険のあるものも多く...
柳田国男 「木綿以前の事」
...色の黒い顔に険のある眼つきなども...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...それが却って険のあるするどい眼や...
山本周五郎 「さぶ」
...「おそくなって済みません」「いまじぶんよく来られたもんだね」と女は険のある声で云った...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...むしろより以上な危険のある横手の灌木帯(かんぼくたい)へとびこんで...
吉川英治 「江戸三国志」
...多分な危険のあるものだった...
吉川英治 「親鸞」
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