...陰鬱な山々の頂(いただき)があった...
芥川龍之介 「素戔嗚尊」
...真暗な陰鬱な線路脇で...
高見順 「如何なる星の下に」
...焼酎の陰鬱な酔いのために刻一刻...
太宰治 「人間失格」
...例えば一見甚だ陰鬱な緑色のセピアとの配合...
寺田寅彦 「津田青楓君の画と南画の芸術的価値」
...昨日から曇ったままの暗い陰鬱な空...
豊島与志雄 「悪夢」
...そして平素の陰鬱な窮屈な生活を遁れて自由なのびのびとした世界に出たような気がして...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...雪になりそうな寒い陰鬱な曇り日であった...
豊島与志雄 「運命のままに」
...乗客は陰鬱な顔で黙りこんでいた...
豊島与志雄 「丘の上」
...一種の空気がずつと貫いて陰鬱な色が万遍(まんべん)なく自然(じねん)に出てゐる...
夏目漱石 「『煤煙』の序」
...厭(い)やな陰鬱なものが隠れている...
萩原朔太郎 「ウォーソン夫人の黒猫」
...そして原子力の投げる最も陰鬱な影はそれを人類が統制する力をもっていないのではないかという一点にある...
原民喜 「悪夢」
...生気(せいき)のない陰鬱な島の輪郭がぼんやりとあらわれだしてきた...
久生十蘭 「海豹島」
...九月の末ごろの空模様みたいに陰鬱な顔をして...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...白(ブランク)ならば未だしも救はれる、にも関はらず自分の胸の底には彼等のそれと反対の凡てを鬱積させてゐる――小胆の癖に大胆を装うてゐる、自信は毛程も持ち合せない、役に立たないカラ元気ばかりを煽りたてゝゐるんだ――卑しい妄想と、愚かな感傷と、安価な利己心と、陰鬱な夢と、その癖いけ図々しい愚昧な策略とを持つてゐるんだ...
牧野信一 「明るく・暗く」
...相当酔つてゐるらしかつたが、陰鬱な顔をして、大声も出さず、そして盃を取りあげた...
牧野信一 「貧しき日録」
...かかる陰鬱な量見を持っていることは...
正宗白鳥 「軽井沢にて」
...1)Polit. justice, b. viii. c. iii. p. 340.これだけでなおこの陰鬱な光景の実際を十分のみこめないというならば...
トマス・ロバト・マルサス Thomas Robert Malthus 吉田秀夫訳 「人口論」
...ところどころに沼を抱いてどこまでも続いている草原というものは陰鬱なものだ...
横光利一 「欧洲紀行」
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