...陰鬱な大男が沈黙と絶望の冷やかな足取りで歩きながら...
レオニード・ニコラエヴィッチ・アンドレーエフ 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...嚥脂色の洋服が、奇怪な蓮の花の様に開いて、黒い水の中に、透き通って見える滑かな二の腕、不可思議な藻の様に漂う髪の毛、美しい、陰鬱な、油絵の景色だ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...堂の内外おのずからに陰鬱な雰囲気が醸し出されていたが...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...こんな陰鬱な心を自分は持っているのだ...
太宰治 「人間失格」
...何だか嫌な、陰鬱な日である...
種田山頭火 「白い路」
...睫毛(まつげ)の深い陰鬱な青白い顔の男であった...
ディッケンズ Charles Dickens 岡本綺堂訳 「世界怪談名作集」
...蝋燭の火に照らされた窓にもまして深い、神秘的な、豊かな、陰鬱な、人の眼を奪ふやうなものがまたとあらうか...
ボードレール 富永太郎訳 「窓」
...乗客は陰鬱な顔で黙りこんでいた...
豊島与志雄 「丘の上」
...陰鬱な気持に沈み込み...
豊島与志雄 「土地」
...おれは陰鬱な顔をして地面をながめつめた...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...陰鬱なメルボーンの生活にかえり...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...この黒檀(こくたん)色をした陰鬱な河...
久生十蘭 「地底獣国」
...赤茶けた媒煙に煙つた陰鬱な低い空の下に並んでゐる家々は...
北條民雄 「大阪の一夜」
...ピエロオに紛(な)つたやうな陰鬱な...
牧野信一 「白明」
...陰鬱な色を帶びて居たのに違ひなかつた...
正宗白鳥 「雨」
...彼らの故郷のごとくなつてゐるこの陰鬱な...
正宗白鳥 「心の故郷」
...また陰鬱な不安と不満足の状態に戻す矜恃であつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...陰鬱な氷島の沖合で...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
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