...陰鬱な曲を弾(ひ)きやめなかった...
芥川龍之介 「路上」
...焼酎の陰鬱な酔いのために刻一刻...
太宰治 「人間失格」
...鮎猟の真中(さなか)に一時しよぼ/\と雨をふらしてゐた陰鬱な梅雨空にもいくらか雲の絶え間が出来て...
徳田秋聲 「草いきれ」
...そして平素の陰鬱な窮屈な生活を遁れて自由なのびのびとした世界に出たような気がして...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...私は息のとまりさうな陰鬱な気におしつけられ...
中勘助 「銀の匙」
...一種の空気がずつと貫いて陰鬱な色が万遍(まんべん)なく自然(じねん)に出てゐる...
夏目漱石 「『煤煙』の序」
...厭(い)やな陰鬱なものが隠れている...
萩原朔太郎 「ウォーソン夫人の黒猫」
...私は私自身の陰鬱な影を...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...おそろしい眞暗の壁の中であなたは熱心に身をなげかけるあなた!ああなんといふはげしく 陰鬱なる感情のけいれんよ憂鬱の川邊川邊で鳴つてゐる蘆や葦のさやさやといふ音はさびしい...
萩原朔太郎 「定本青猫」
...僕の生涯の中での最も呪わしく陰鬱な時代であり...
萩原朔太郎 「僕の孤独癖について」
...外はどんな荒天だろうか? もう陰鬱な日中ではなく...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...きわめてnegatif(ネガチフ)な陰鬱なようすをしている...
久生十蘭 「地底獣国」
...生活の悪さからくる陰鬱な調子がついていたが...
久生十蘭 「肌色の月」
...實際、私たちは、朝のうち一時間、葉の落ちた灌木(くわんぼく)の林の中をぶら/\歩いたが、晝食後(リード夫人は、客のない時は、はやく晝食を濟(す)ませた)は、冷(つめ)たい冬の風が、陰鬱な雲と、身にしみるやうな雨を齎(もた)らしたので、これ以上の戸外運動は、もうすつかり不可能になつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...灰色の陰鬱な日だつた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
......
森川義信 「冬の夜の歌」
...扉がひとりでに閉まって来て重々しい陰鬱な反響を部屋の内外に轟かした...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...年の割には落ちついたどこかに陰鬱なほど品位のある一人の娘が登って来て...
横光利一 「馬車」
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