...そして町は停車場前の広場から両側の堆(うずたか)く掃き寄せられた雪の吹き溜りの陰にチラチラと灯を覗(のぞ)かせていたが...
橘外男 「生不動」
...椿か桜らしい数本の大木の陰に聳(そび)えた和洋造りのこの辺には珍しい立派な家を指さすと...
橘外男 「逗子物語」
...見えます! 左手遥かに眼の下が開けて雑木林の陰になって...
橘外男 「墓が呼んでいる」
...あの山の陰には一疋(ぴき)や二疋いないことはなかったが...
田中貢太郎 「ある神主の話」
...主人公の老富豪が取引所の柱の陰に立って乾坤一擲(けんこんいってき)の大賭博(だいとばく)を進行させている最中に...
寺田寅彦 「映画雑感(4[#「4」はローマ数字、1-13-24])」
...ゆるゆると仕切り板の陰にいる彼のところへ足を運んだ...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...陰にこもった底力のあるよび声がおれの耳にひっかかった...
西尾正 「放浪作家の冒険」
...陰になり日向になり私を庇(かば)ってくれて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...深谷の腰から下は土の陰に隠れた...
葉山嘉樹 「死屍を食う男」
...ツクツクをかぶって岩陰に身を寄せたが...
久生十蘭 「新西遊記」
...その陰に引きこもっていると...
堀辰雄 「かげろうの日記」
...やがて大寒の頃になると櫟林の裏山から夜陰に乗じて野狐が襲来するさうだが...
牧野信一 「鵞鳥の家」
...陰になり陽になって絶えず自分の力となって尽してくれた...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...その腕の陰に隱れてゐた赤兒の首がぐたりと傾いた...
水野仙子 「嘘をつく日」
...」此秋山伊豆は藤陰に文章の添削を乞うたことのある人ださうである...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...園内随所の林泉の陰にも...
吉川英治 「三国志」
...溜の幕の陰に、笈(おい)をおろした山伏がある...
吉川英治 「宮本武蔵」
...油絵の陰に入って戸を閉めた...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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