...外面道徳の專權は人を野卑陋劣にする...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...可(い)いかな? その陋劣(さもし)い心を人間(ひと)の胸から攘(はら)ひ浄めて...
石川啄木 「赤痢」
...或は陋劣なる家庭にありながら...
伊藤左千夫 「家庭小言」
...生活上からは凡人も卑(いや)しとする陋劣(ろうれつ)な行動もせねばならぬ...
伊藤左千夫 「去年」
...陋劣(ろうれつ)に對(たい)しては厭惡(えんを)の情(じやう)を以(もつ)て答(こた)へてゐるです...
アントン・チエホフ Anton Chekhov 瀬沼夏葉訳 「六號室」
...それは矢島の陋劣(ろうれつ)なあてこすりだったのだ...
太宰治 「惜別」
...あの陋劣で破廉恥な性質の証拠の他(ほか)には...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...それは蜃気楼だ、陋劣な空想だ、穢らわしいロマンチックな夢だ、――例のコモ湖畔の舞踏会と変わりはありゃしない...
ドストエーフスキイ 米川正夫訳 「地下生活者の手記」
...ジャヴェルは陋劣の方を欠いたその特別な相貌を持っていた...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...陋劣(ろうれつ)不名誉なる刑場であった...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...私は到底陋劣である...
長塚節 「隣室の客」
...私の陋劣な手段は私の噂を葬つてしまつた...
長塚節 「隣室の客」
...学問の根底たる立脚地を離るるのを深く陋劣(ろうれつ)と心得た...
夏目漱石 「野分」
...「何という陋劣(ろうれつ)な男だろう」お延は腹の中でこう思った...
夏目漱石 「明暗」
...陋劣(ろうれつ)な吾にしても...
二葉亭四迷 「平凡」
...職業的の賭博者(とばくしゃ)の陋劣(ろうれつ)きわまる手管(てくだ)を覚えこもうとし...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「ウィリアム・ウィルスン」
...それがもし事実だとすれば……いや! 人間はそんな陋劣(ろうれつ)にはなれぬはずだ...
山本周五郎 「夜明けの辻」
...「資本家を倒すのは人類のためだ」と揚言しながら「実はおれ自身のためだ」というさもしい欲求――「労働運動は多数を恃(たの)む卑怯者の群れだ」と罵倒しながら「おれの儲け処が貴様達にわかるものか」という陋劣(ろうれつ)な本心――「多数党如何に横暴なりとも正義が許さぬぞ」という物欲しさ――「本大臣は充分責任を負うております」という不誠意――どれもこれもその云う口の下からの鼻の表現に依って値打ちは付けられて...
夢野久作 「鼻の表現」
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