...と厳重な調子で開き直って来た...
有島武郎 「かんかん虫」
...が、開き直って、今晩は、環海ビルジングにおいて、そんじょその辺の芸妓(げいしゃ)連中、音曲のおさらいこれあり、頼まれました義理かたがた、ちょいと顔を見に参らねばなりませぬ...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...これを聞いた件(くだん)の山伏、さっそく、懐中せる小刀をとり出し、開き直って、「しからば、拝見いたそう」と、つめよったのです...
高神覚昇 「般若心経講義」
...むごい親方ではなかった」「清さんへの義理がありますもの」綾子はそして開き直って...
高見順 「いやな感じ」
...と開き直って聞き糺(ただ)したかったが...
太宰治 「佳日」
...そんなに、しつっこく追及されると、僕も開き直って、もっと馬鹿正直に言ってやりたくなります...
太宰治 「新ハムレット」
...彼は開き直って両手をつき...
谷崎潤一郎 「幇間」
...「誰も見えませぬ」「ちと改まってそなたに申し置くことがあるぞ」「それは何でござりましょう」「今日の門出(かどで)に、これをそなたに遣(つか)わします」机の上なるまだ墨の香の新しい一封の書状、お浜は不審顔(ふしんがお)に手に取って見ますと、意外にもこれは離縁状、俗にいう三行半(みくだりはん)でありましたから、「これは私に下さる離縁状、どうしてまあ」呆気(あっけ)に取られて夫の面(おもて)をみつめていましたが、開き直って、「お戯(たわむ)れも過ぎましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...檣上の小宣伝家は、相手が唖(おし)であり、聾(つんぼ)である――或いは聾であるが故に唖であり、唖であるが故に聾――どちらでもかまわないが、これは相手にはならないと見て、また開き直って、次なる出鱈目の用意にとりかかった時、はじめて下から音声がありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...どんなのが月並なんです」と開き直って月並の定義を質問する...
夏目漱石 「吾輩は猫である」
...拙者は石津右門――」「拙者は大垣伊右衛門と申す者」二人の武家は開き直って挨拶するのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...八五郎は開き直って年始のあいさつを申述べるのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...思わず開き直っていおうとしたが...
正岡容 「小説 圓朝」
...開き直って用向を尋ねた...
森鴎外 「二人の友」
...サテコイツがモウ一段開き直って...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...「小癪(こしゃく)な公達(きんだち)めが」と紹由は開き直って...
吉川英治 「宮本武蔵」
...たとえ今、この家を包む剣(つるぎ)の林の中であっても、開き直って、その理(わけ)を問い究(きわ)めて見なければならないと、思わず真率な眼を輝かせて、武蔵は強(きつ)く詰問(なじ)ったのであった...
吉川英治 「宮本武蔵」
...なんで天下のお為になるか」「ならいでか」ばばは開き直って...
吉川英治 「宮本武蔵」
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