...その目は鋭く輝いたり涙ぐんだりしていた...
有島武郎 「或る女」
...鋭くその鑿をもって抉(えぐ)るがごとく響いたので...
泉鏡花 「悪獣篇」
...「アラ、あなたは誰ですの?」博士はこの突飛な言葉を聞くと、相手が気でも狂ったのかと怪しんだのであろう、ギョッとしたように、身動きをやめて、鋭く答えた...
江戸川乱歩 「悪魔の紋章」
...けれども友人の舌鋒(ぜっぽう)は、いよいよ鋭く、周囲の情勢は、ついに追放令の一歩手前まで来ていたのである...
太宰治 「服装に就いて」
...一体この男は、痩せて眼が鋭く、ひどく意志的に見える一面と、淋しげな微笑をした、投げやりな諦めの一面とを、持っていたのであるが、その二つの面のくいちがった隙間から、時々、内省的な深い空虚を示すことがあって、それが私の注意を惹いていた...
豊島与志雄 「待つ者」
...用いらるるメスがあくまで鋭く直截的であることである...
中井正一 「探偵小説の芸術性」
...わが姿を見るや忽羽音鋭く飛去るなり...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...如何に複雑に且つ効果鋭く応用されてゐるかは...
永井荷風 「虫干」
...ソレ見たことかと鋭く突込んで...
中里介山 「大菩薩峠」
...不意に「兄さん!」と鋭く呼びかけた...
北條民雄 「青春の天刑病者達」
...活々した階級的人間的生活の種々雑多の具象性に対し最も感受性が鋭く...
宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
...鋭く切れあがつて...
室生犀星 「蒼白き巣窟」
...女はそのとき鋭くあたりに目をくばって...
室生犀星 「香爐を盗む」
...……のみならず一度閉まっていた扉(ドア)がどうして開いたのでしょう」「合鍵はこのホテルに別なのがあります」検事の言葉がだんだん鋭くなって来た...
夢野久作 「暗黒公使」
...私自身に鋭く刺戟させようとしたのであろう...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...男たちは皆眼光が鋭く不意に殺到して来そうな気配の中を...
横光利一 「旅愁」
...たとえば日本における豊臣(とよとみ)秀吉の如きは、犀眼(さいがん)、鋭意、時に厳酷でもあり、烈しくもあり、鋭くもあり、抜け目もない英雄であるが、どこか一方に、開け放しなところがある...
吉川英治 「三国志」
...今夜あ一つ、ほんとの事を相談しようじゃありませんか」「何をいう!」と、かえって鋭く、「さっきから黙って聞いておれば、悩みを解く説法を乞いたいの、金儲けの相談をしようのと……...
吉川英治 「源頼朝」
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