...その眼は思わず鋭くなって...
有島武郎 「星座」
...私の方を鋭く睨(にら)んでいるのでしたが...
谷崎潤一郎 「痴人の愛」
...こほろぎの声がだん/\鋭くなる...
種田山頭火 「其中日記」
...岩はくずれてカミソリのように鋭くなっている...
辻村伊助 「登山の朝」
...そして「来る途上、嘉右衛門とも、話をしたが、とにかく、穏健の手段をとるならば、今度の御出生の模様によって、もし、御幼君ならば飽くまで、守護する――」「今迄でも、飽くまで、守護したではござらんか」軽輩の中から、益満が、鋭く、突込んだ...
直木三十五 「南国太平記」
...観察を鋭くしようと...
永井荷風 「谷崎潤一郎氏の作品」
...家庭でも土地の仕立屋でもやれるようなものでなければ徹底しない筈である」ということを弥之助が鋭く言うたので...
中里介山 「百姓弥之助の話」
...彼は眸(ひとみ)を鋭く光らせると...
北條民雄 「いのちの初夜」
...明が彼女の前に立ち現われたときから何かしら自分自身に佯(いつわ)っていた感情のある事を鋭く自覚した...
堀辰雄 「菜穂子」
...あなたみたいに鋭くて利口な人は...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...三田は淺ましくも耳を鋭くしてゐた...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...男に対する女の官能の面も鋭く忌憚なく描こうと試みられている...
宮本百合子 「「或る女」についてのノート」
...常とまるで異って感じの鋭くはでやかに成って居る顔を面白く見守って居た...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...何処までも 繊細に 何処までも 鋭く而も大らかに 生命の光輝を保つことこそ人間は...
宮本百合子 「五月の空」
...だが茶人たちは鋭くもそれらのものの美に打たれた...
柳宗悦 「工藝の道」
...誰より眼光鋭く神経質に痩せていたのも...
横光利一 「旅愁」
...まだ、衝動の紅潮を、耳のあたりに残しながら、ことば鋭く、「ぬかすなッ、日本左衛門」と、足をあげて蹴らんばかりの語勢です...
吉川英治 「江戸三国志」
...真剣の鋩子(きっさき)より鋭く見えた竹杖の先に...
吉川英治 「剣難女難」
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