...「たいていわかりました」その答えを聞くと父は疑わしそうにちらっともう一度彼を鋭く見やった...
有島武郎 「親子」
...神經が研ぎすました西洋剃刀の刄のやうに鋭くなつてゐて...
石川啄木 「新しい歌の味ひ」
...「無線で命令したことは御承知でしょうな」と捜査課長は鋭くいった...
海野十三 「地中魔」
...さらに語気鋭く大音声をつづけた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...トレーポレモス投げ突けし槍は敵將の左腰 660打ちて鋭く其穗先貫き通り骨に觸る...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...変に鋭く活(はたら)いていた...
豊島与志雄 「子を奪う」
...そして「来る途上、嘉右衛門とも、話をしたが、とにかく、穏健の手段をとるならば、今度の御出生の模様によって、もし、御幼君ならば飽くまで、守護する――」「今迄でも、飽くまで、守護したではござらんか」軽輩の中から、益満が、鋭く、突込んだ...
直木三十五 「南国太平記」
...そして、斉彬の顔を見ようとして、眼を上げると、その眼を、斉彬は、鋭く、見返した...
直木三十五 「南国太平記」
...彼は、ここまで話して来て、その好きな煙草(たばこ)に火をつけて、肺臓全体に煙の行きわたるように、深く鋭く、煙をすった...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...突然鋭く私の心の隙間に...
三好達治 「柘榴の花」
...黙々としていても眼光が鋭く...
横光利一 「欧洲紀行」
...鉛色の山肌に下った氷河が鋭く...
横光利一 「旅愁」
...炬(かがり)の如き眼光鋭く...
吉川英治 「剣難女難」
...水浅黄の小袖に短か袴、昔に変って色黒く、眼鋭く、大妻籠から下山してきた野人の風骨そのまま、鐘巻自斎と、面と面を向いあわせて、ピタリとそこに踏み止まった...
吉川英治 「剣難女難」
...今夜あ一つ、ほんとの事を相談しようじゃありませんか」「何をいう!」と、かえって鋭く、「さっきから黙って聞いておれば、悩みを解く説法を乞いたいの、金儲けの相談をしようのと……...
吉川英治 「源頼朝」
...――また溯(さかのぼ)って、女笛師の雪女を殺したのも羅門塔十郎以外の何者でもない!」「だまれッ、江漢」鋭く、ふるえを帯びて叫ぶのを、老先生は子供の頭を抑えるように、静かに、沈痛に、「余人の眼はくらませても、この江漢の眼は晦(くら)まされん...
吉川英治 「牢獄の花嫁」
...きれの長い、半ば閉じた眼、厚ぼったい瞼(まぶた)、ふくよかな唇、鋭くない鼻、――すべてわれわれが見慣れた形相の理想化であって、異国人らしいあともなければ、また超人を現わす特殊な相好があるわけでもない...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...伎楽面が喜び怒り等の表情をいかに鋭く類型化しているか...
和辻哲郎 「面とペルソナ」
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