...鉤には誰かが河豚(ふぐ)にでも切られたらしい釣鉤と錘具(おもり)とが引つ懸つてゐるばかしで鱚らしいものは一尾(ぴき)も躍(をど)つてゐなかつた...
薄田泣菫 「茶話」
...猶太(ユダヤ)人の冠るような縁なし帽に鉤裂(かぎざ)きだらけの上衣を着けて...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...主人は自在鉤につるして火の上にかけてあった茶釜から...
田中貢太郎 「死人の手」
...鉤もないことになるだろう...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...それから今申しました※、鉤、送と云ふ三つの韓方明が使つた術語を大師が使つて居られるか、又は『訐』の字だけを使つて居つて、其の外のものを使つて居られぬでは疑ひを存せねばならぬのでありますが、それはどうかと云ふと、皆明かに此等の術語を使つて居られます...
内藤湖南 「弘法大師の文藝」
...腮(えら)から荒縄をとおされ烏天狗(からすてんぐ)みたいな口をくわっとあけて鉤なりの歯を見せている...
中勘助 「島守」
...それとも奴がすれっからしで「餌だけは食うが鉤を呑み込むのは御免を蒙る」と云う...
葉山嘉樹 「信濃の山女魚の魅力」
...手鉤(ギャフ)や銛を船に残しておくと人の出来心を不必要に誘いかねないとも思っていた...
アーネスト・ヘミングウェイ Ernest Hemingway 石波杏訳 Kyo Ishinami 「老人と海」
...鉤が比較的低いところにあり...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...頑丈な鉄の鉤が打ち込んであって...
牧逸馬 「ロウモン街の自殺ホテル」
...*漸く僕が彼の肩先に蟷螂のやうな鉤型の腕をひつかけて...
牧野信一 「凩日記」
...鉤型に曲げた人差指を私の鼻の先へ突きつけたゞけだつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...烏賊はこれを真の海老だと思つて八本の手で抱きつくと鉤は彼の柔かな肉を刺すのである...
正岡子規 「病牀六尺」
...鉤から道糸、道糸から竿先、竿先から竿を伝つて手迄、全く統一した有機体である...
正木不如丘 「健康を釣る」
...手のひらや指の代りに鉤のついた道具を眺める人々が...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...九州でも中央の山地にはまだ鉤のあるネンがあるらしい...
柳田国男 「こども風土記」
...私は鯊を鉤(はり)から外してバケツに入れ...
山本周五郎 「青べか物語」
...土間の真ン中に大きな自在鉤(じざい)が懸っている...
吉川英治 「宮本武蔵」
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