...(プスッ)というような鈍い物音が大臣席のうしろの方にした...
海野十三 「仲々死なぬ彼奴」
...遮蔽した鈍い灯をかかげてビツコをひくやうに搖れながら入つてくると...
徳永直 「光をかかぐる人々」
...眼の視力の鈍い、どこかきかぬ気らしい、白蝋の面のようなその顔は、涙にふさわしくなかった...
豊島与志雄 「溺るるもの」
...精神的にはいささか鈍いところがある...
豊島与志雄 「程よい人」
...彼の鈍い瞳(ひとみ)は怪しい炎に輝き...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...真昼の暑熱が漸く鈍い渾然さをみせた夕刻の空気の中を...
中原中也 「医者と赤ン坊」
...それは頭脳の鈍い劣等な人種である...
夏目漱石 「それから」
...鈍い行灯(あんどん)の灯(あかり)に対して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...ラーンスロット卿が詳しく書きしるしたあの破れわれる音の反響(抑えつけられたような鈍いものではあったが)にそっくりな物音が...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「アッシャー家の崩壊」
...ドユマアと云ふ医者と、エチアンヌと云ふ助手とが、鈍い器で付けた創だと云つたが、如何にもその通りで、その鈍い器は、僕の考では、あの中庭に敷いてある敷石だ...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...鈍い眼を一寸物思ひに走らせて...
牧野信一 「或る日の運動」
...その上頭の鈍い私は...
牧野信一 「環魚洞風景」
...記憶力の鈍い院長は誰か女性を閉じ込めてあるように錯覚して...
松永延造 「職工と微笑」
...その互いになぐり合う鈍い音と唸り声)七中央の手前に置かれたガンドウの光の中に...
三好十郎 「胎内」
...大きい鈍いコントルバスのような声でハルロオと答える...
森鴎外 「木精」
...只朝凪(あさなぎ)の浦の静かな、鈍い、重くろしい波の音が、天地の脈搏(みやくはく)のやうに聞えてゐるばかりである...
森鴎外 「妄想」
...鈍い振子のように暫く左右に揺れていた...
横光利一 「南北」
...あの鈍い真鍮色の四角な光は崖上の家の書斎の窓の灯火(あかり)...
與謝野晶子 「晶子詩篇全集拾遺」
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