...何かしら鈍い壓迫が頭腦に起つて來て...
石川啄木 「病院の窓」
...少し鈍い角度で丁度前を切り取つたようになつてゐる...
アンリイ・ファブル Jean-Henri Fabre 大杉栄、伊藤野枝訳 「科学の不思議」
...「あれは何でございましょう」武太夫は視力が鈍いので遠くが見えなかった...
田中貢太郎 「海神に祈る」
...そこには甘さがあり買かぶりがあり不徹底があり鈍い観察があつた...
田山録弥 「三月の創作」
...少しく南に廻った鈍い日脚が...
豊島与志雄 「秋の幻」
...ようよう雲に鈍い薄あかりがさし初(そ)めて...
直木三十五 「南国太平記」
...綱手は、小太郎の鈍い、表情の無い眼を見て(まだ悪いのかしら――見えたにちがいないのに、眼の色一つ変えないで――)と、思った...
直木三十五 「南国太平記」
...黒ずんだ上に鈍い反射を見せてゐる水の面を...
永井荷風 「上野」
...そうしてお前は感受性が鈍いから罹(かか)らないんだって云うのよ...
夏目漱石 「行人」
...機關の響が鈍いリズムを打つのが聞えて來た...
「修道院の秋」
...凍った鈍い日ざしの中を...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...あのアクセントの鈍い...
牧野信一 「熱い風」
...鈍い灯火(あかり)に...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...この男の低い、鈍い、小言を言ふやうなバスの音がたび/\己を驚かして、己に今まで聞いたオヂツセエめいた話の節々を思ひ出させるのである...
コロレンコ Vladimir Galaktionovick Korolenko 森林太郎訳 「樺太脱獄記」
...鈍い空気が顔を撲(う)って胸が詰まるような気がした...
シュニッツレル Arthur Schnitzler 森鴎外訳 「みれん」
...わたしの気性は鈍い...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...眼には非人間的な鈍い冷たい光があり...
山本周五郎 「青べか物語」
...乾草(ほしぐさ)がのろい頤(あご)の間で噛み砕かれる鈍い音のほか...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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