...恋人のごくかすかなささやきを聞きのがしてしまうほど鈍い女性の耳がどこにあろうか...
ワシントン・アーヴィング Washington Irving 吉田甲子太郎訳 「幽霊花婿」
...鈍い光を放つてゐた...
芥川龍之介 「南京の基督」
...ゴトンゴトンと鈍い音を立てて...
江戸川乱歩 「押絵と旅する男」
...ぐったり疲れてそのまま凋(しぼ)んで行きそうな鈍い目で医師や産婆の顔を眺めて不安そうに尋ねだした...
徳田秋声 「足迹」
...叔母は鈍いうっとりした目を開いて...
徳田秋声 「足迹」
...その時の彼の心理は鈍い庸三に解(わか)るはずもなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...然るに今突然自分は此の黄色な鈍い石油ランプの火影に接して何とも云へぬ不思議な慰安を覚えた...
永井荷風 「海洋の旅」
...「…………」尼法師は鈍い光にすかして...
野村胡堂 「百唇の譜」
...ひどく頭の鈍い小使...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「変身」
...鈍い形の道具というのは明らかに中庭の舗石なのだ...
エドガー・アラン・ポー Edgar Allan Poe 佐々木直次郎訳 「モルグ街の殺人事件」
...空想力と感情の鈍い青年が往々落ち入る珍らしくもない患者になつてゐることを彼は...
牧野信一 「「或る日の運動」の続き」
...群衆はみんなでただ一つの鈍い重苦しい魂しか持っていない...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神童」
...見るから淋しい鈍い色彩の建物である...
三島霜川 「解剖室」
...自分の脳髄の鈍い事を言立て他人の事は何でも褒(ほめ)る...
村井弦斎 「食道楽」
...さぶちゃんがてんで鈍いから...
山本周五郎 「さぶ」
...刀でも磨(と)ぐような鈍い響きが...
吉川英治 「三国志」
...やがてそれが、大ぶりになって来ると、丸太組の小屋は、どこからともなく、鈍い軋みの音を、伝えて来た...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...そのぶっつかった鈍い音に...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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