...百合はさながら真珠の鈍い光りを帯びてゐた...
ウィリアム・バトラー・イエーツ William Butler Yeats 芥川龍之介訳 「春の心臓」
...歩くたびに湿っぽい鈍い重い音ががさりがさりとする...
芥川龍之介 「槍が岳に登った記」
...あるいは感覚の鈍い為(た)めにその味いを感ずることが出来ないのであろうとも云える...
伊藤左千夫 「歌の潤い」
...そうして感覚はひどく鈍いそうだ...
太宰治 「十二月八日」
...ムリに立たせた中国人の腹に鈍い音を響かせ...
田中英光 「さようなら」
...奥の奥の方までどろんとした鈍い光りを含む石のかたまりに魅力を感ずるのは...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...が、その鐘は今や深い、鈍い、空洞(うつろ)な、陰鬱な一時を打った...
ディッケンス Dickens 森田草平訳 「クリスマス・カロル」
...砲撃の鈍いとどろきなどが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...うちの妹なんぞは神経が鈍いからだと思っている...
夏目漱石 「虞美人草」
...自分は鈍い不安のうちに...
夏目漱石 「行人」
...鈍い太陽が冬枯れの練兵場の上にあった...
原民喜 「三人」
...頭の鈍い大口の受刑者と...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「流刑地で」
...なんだか鈍い、次第に強くなつて来る物音が聞えるのである...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「うづしほ」
...鼻根のところでひどく濃くなっている黒い眉は釣り上げられて、その眉の下から両眼がふしぎそうな、鈍い、冷たくあきれたような表情で、あらゆる品々を一々しばらく見つめる...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「神の剣」
...働きかけることの鈍いちょっとした暗示...
宮本百合子 「解説(『風知草』)」
...大食の人は必ず脳が鈍い...
村井弦斎 「食道楽」
...途端に、肘の下の羽目板が、鈍い音を立てた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
...眼は鈍い焔のように見える...
和辻哲郎 「エレオノラ・デュウゼ」
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