...釣革につかまつてゐる小意氣な年増の白粉のたまつてゐる耳の下には眞赤な肉の上つてゐる瘰癧の切り痕...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...且大抵は釣革に揺下(ぶらさが)るのだから...
内田魯庵 「駆逐されんとする文人」
...釣革に垂下(ぶらさが)って満員の中に押し潰されそうになっても猶お交通の便利を心から難有がるほど呑気にはなれない...
内田魯庵 「駆逐されんとする文人」
...不破は空席がなくて釣革にぶら下っていたというわけです...
梅崎春生 「ボロ家の春秋」
...十人ばかりの者は立つて釣革にすがつてゐた...
田中貢太郎 「白いシヤツの群」
...葉子が釣革(つりかわ)に垂れ下がりながら先生々々と口癖のように言って何かと話しかけるのに辟易(へきえき)したことだの...
徳田秋声 「仮装人物」
...二人一度に揃(そろ)って倒れかけそうにして危くも釣革(つりかわ)に取りすがった...
永井荷風 「深川の唄」
...もう少々最(もう)一(ひと)ツ先きの釣革に願います...
永井荷風 「深川の唄」
...」釣革をば一ツ残らずいろいろの手が引張っている...
永井荷風 「深川の唄」
...出口に近い釣革へつかまると...
永井荷風 「深川の唄」
...そうして電車の中で釣革(つりかわ)にぶら下りながら...
夏目漱石 「硝子戸の中」
...彼は釣革(つりかわ)にぶら下りながらただ自分の事ばかり考えた...
夏目漱石 「明暗」
...釣革にぶら下がつてゐる人もなかつたので...
南部修太郎 「S中尉の話」
...それは肩の釣革を引きちぎつた下袴の上半だつたが...
南部修太郎 「死の接吻」
...種田君の病体では釣革をたよりに立つて居るのが苦しさうであつた...
平出修 「二黒の巳」
...何時も電車の釣革につかまつて立つて居るのであるから...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
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